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【オンラインショップ更新】特集 エロール・ル・カイン

こんにちは!

古本とがらくた paquet.オンラインショップ更新のお知らせです。


今週は幻想的な作風でしられる絵本作家、Errol Le Cainの絵本を特集します。

わたしは少し意外だと思ったのですが、彼のキャリアはアニメーション製作からはじまったそうです。
太平洋戦争のあいだ家族でインドに逃れ、終戦後生まれ故郷のシンガポールへと戻った彼は家の隣あった映画館へ通いつめ、11歳でアニメーション製作をはじめました。15歳のときに製作した作品が映画会社の目に留まり、アニメーションを学ぶためロンドンへ留学しています。

その後映画のために描いたラフをもとに最初の絵本「アーサー王の剣」を出版、1989年に癌で逝去するまで絵本作家としてすばらしい作品を発表し続けました。

日本では2018年に亡くなった「ちびまる子ちゃん」の作者、さくらももこさんが作風に影響を受けたことでもしられています。
わたしも小学生のころはじめてお小遣いで集めた漫画が「ちびまる子ちゃん」だったので、思い出すとなるほどたしかに!という感じ。
親しみを込めて紹介していきたいと思います。

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「おどる12人のおひめさま」
 
エロール・ル・カイン 絵
やがわ すみこ訳
1980年2月5日 株式会社ほるぷ出版 発行

まずはエロール・ル・カイン自身好んで描いたというグリム童話から。
十二人のうつくしいおひめさまとある貧しい兵士、そして彼女たちの靴にまつわる謎をめぐる幻想的おとぎ話です。

おひめさまたちが身に着ける豪華なドレスや靴、お城や森のようす、星空が映り込む水面まで──まるで宗教画のように完成された、隙のないイラストレーションによって物語が展開していきます。
これがエロール・ル・カインの世界なんだと惚れ惚れする一冊です。


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「いばらひめ」
エロール・ル・カイン 絵
やがわ すみこ訳
1975年9月20日 株式会社ほるぷ出版 発行

続けてグリム童話から。かの有名な「眠れる森の美女」の物語です。

(↑あらすじはこちらの記事で紹介しているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。)

どのシーンも夢のようにうつくしいのですが、わたしはこの絵本の表紙の絵がとくに好き。暗い森の地面に細かな花が咲き、その上を行進する風代わりな人物たち──たとえば、一角獣に乗った背中に蝶の羽根を持つ人、綿毛のステッキを持った天使など──飽きることなく見入ってしまいます。

実店舗ができたら面出しでならべたいな〜と今からひそかに思っています。


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「フォックスおくさまのむこえらび」
 
コリン夫妻 文
エロール・ル・カイン 絵
やがわ すみこ訳
1983年6月15日 株式会社ほるぷ出版 発行

コリン夫妻(サラ&ステファン・コリン)の物語にエロール・ル・カインが絵をつけた傑作絵本を二冊続けて紹介します。

まず「フォックスおくさまのむこえらび」
タイトルの通り、夫を亡くしためギツネのフォックスおくさまがあたらしいおむこさんを探すおはなしです。

若くてきれいなおくさまのもとには次々に結婚を申し込む殿方が現れますが、彼女はだれのことも気に入りません。
亡くなった夫のように「ふさふさしたしっぽが九本もあって」「えんじのビロードみたいなけがわに」「そろいのくつしたをはいて」いる人なんていなかったからです。
おくさまは無事にあたらしいおむこさんを見つけることができるのでしょうか?

たくさんの動物がかわるがわる登場するこの絵本には、カインがアニメーション畑の出身であることが魔法のように作用していると思います。


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「ハーメルンの笛ふき」
サラ&ステファン・コリン 文
エロール・ル・カイン 絵
かなせき ひさお 訳
1989年11月20日 株式会社ほるぷ出版 発行

1284年ごろにハーメルンで実際にあったとされる、130人の子どもが姿を消してしまったという事件をもとにグリム兄弟が再話した「ネズミ獲りの話」──ネズミの被害に悩まされるハーメルンの町で、ネズミを追い出してくれた笛ふきの男に約束のお金を支払わなかったために町じゅうの子どもたちを連れて行かれてしまったという伝説──を題材にコリン夫妻とエロール・ル・カインが作った恐ろしくうつくしい絵本です。

印象的なのはまだらの服を着て長いたて笛を下げた笛ふき男の姿。子どもの大行列を率いるシーンには、笛の音がきこえてきそうなほどの迫力があります。

巻末にはハーメルンの笛ふき伝説と実際に起こった事件について、そして事件の舞台となったハーメルンではそれらがどのように扱われているのか、3ページにわたって詳しく書かれてあります。何でも、ハーメルンには「ネズミ獲りの男の家」があり、この絵本はその家の館長の協力があって完成したそう。

悪名高い笛ふき男の物語をコリン夫妻とカインの傑作絵本でお楽しみください。


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「ね、うし、とら……十二支のはなし」

ドロシー・バン・ウォアコム 文
エロール・ル・カイン 絵
へんみ まさなお 訳
1978年12月15日 株式会社ほるぷ出版 発行

ね、うし、とら、う、たつ、み……
日本人にも馴染深い十二支ですが、どうしてこの順番に年がめぐるようになったのでしょう?
それには中国の皇帝陛下と半分神さまで半分人間のシュン・ユーとよばれる男、それから12種類の動物たちによる少々入り組んだやりとりがありました。

シンガポールに生まれ、インドのほか、日本や香港、サイゴンなどを転々とした経験から、カインは東洋の伝説や美術にも明るく、特別な関心を持っていたそう。
中国民話をモチーフにした本作は、彼のイラストレーションのエキゾチックな魅力を存分に感じられる一冊です。

新商品は今夜21時からご購入いただけます。
またオンラインショップでお買い物をされたお客様には購入特典として、わたしの個人的な読書記録をまとめた小冊子「なにかよむもの」を一回のご注文につき一冊同封してお届けします。

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