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レティシア書房店長日誌

中川敬とリクオにきく「音楽と政治と暮らし」
 
 山口県岩国市に「ヒマール」という名のお店があります。本やレコード、雑貨、クラフト、文具などを販売しています。そして、このお店は出版部門を持ち、「Never Fire of The Road/旅に倦むことなし」というアイルランドの吟遊詩人の世界を柴田元幸翻訳で出していて、当店でも販売(1760円)しています
 今回、新たにブックレットシリーズの第一弾として音楽家の中川敬とリクオのトークによる「音楽と政治と暮らし」(500円)を発売しました。
 


 中川敬は、インディーズレーベルから出てきたミュージシャンです。私のレコード店勤務時代ですからかれこれ40年ほど前、当時から日本の政治や社会に対して鋭い意見をいい、歌ってきた人です。阪神大震災の時には被災地ライブを行い、そこで歌われた「満月の夕」はその後も多くのシンガーが歌っています。リクオは京都出身で、92年忌野清志郎と共に「胸が痛いよ」をリリースしました。
 50ページにも満たないブックレットの中で、中川はこう言います。
 「でも、『平和をつくっていこう』とか『原発のことをちゃんと考えよう』とか、そんなことを言うのが『政治的』だとは、どうしても思えないのよね。当たり前のことやないか、と。『差別をやめよう』とか『マイノリティのことをちゃんと考えよう』とかね。こういう話が『政治的』だとは、まったく思えない。」「ここが全体主義の国だったらまだしも、議会制民主主義が今のところ一応なんとか機能している国で、一人ひとりの考えが反映されるわけやからねー。世界的に現状を見れば、かなり、言論の自由、表現の自由が保障されてる国なんですよ。」「逆に『政治的』とくくることで、発言しにくいように、発言しないような空気を自分たちでつくってるみたいな気がします。自分たちの暮らしの話なら、もっと世間話として話せるのに。」と話は続いていきます。
 最近よく聞く「ていねいな暮らし」などで、政治の話はしない、誰かの意見に反発しない、そういうことは気にせずに毎日ていねいに暮らそうというトレンドに対して、中川ははっきりと否定します。
 「極端にいうと、そういう生き方は間違ってますよね。端的にいうと『マイノリティ』はしんどいままやし。子供たちの世代が大人になったときにどんな社会になっているかということに関しても、ちょっと無責任な感じがある。ただね、日常で四〜五人で話していて『ていねいに暮らしたいよね』って言う、それはふつうにある話でしょう」
 音楽のことを中心にして暮らしのこと、そして政治について刺激的な意見を交わしていきます。気さくなトークの中に、私たちが考えていかねばならないことが見えてきます。なお、同時発売のブックレット「陶芸家高野友美にきく地方と独立」(500円)も置いています。

⭐️夏期休暇のお知らせ 8月5日(月)〜9日(金)休業いたします

●レティシア書房ギャラリー案内
7/24(水)〜8/4(日)「夏の本たち」croixille &レティシア 書房の古本市
8/21(水)〜9/1(日) 「わたしの好きな色』やまなかさおり絵本展
9/4(水)〜9/15(日) 中村ちとせ 銅版画展

⭐️入荷ご案内
早乙女ぐりこ「速く、ぐりこ!もっと速く!」(1980円)
子鹿&紫都香「キッチンドランカーの本2」(660円)
夏森かぶと「本と抵抗」(660円)
加藤和彦「あの素晴らしい日々」(3300円)
若林理砂「謎の症状」(1980円)
宇田智子「すこし広くなった」(1980円)
おぼけん「新百姓宣言」(1100円)
仕事文脈vol.24「反戦と仕事」(1100円)
些末事研究vol.9-結婚とは何だろうか」(700円)
今日マチ子「きみのまち」(2200円)
秋峰善「夏葉社日記」(1650円)
「B面の歌を聴け」(990円)
夕暮宇宙船「小さき者たちへ」(1100円)
「超個人的時間紀行」(1650円)
柏原萌&村田菜穂「存在している 書肆室編」(1430円)
「フォロンを追いかけてtouching FOLON Book1」(2200円)
庄野千寿子「誕生日のアップルパイ」(2420円)
稲垣えみ子&大原扁理「シン・ファイヤー」(2200円)
「中川敬とリクオにきく 音楽と政治と暮らし」(500円)
くぼやまさとる「ジマンネの木」(1980円)
おしどり浴場組合「銭湯生活no.3」(1100円)
「てくり33号」(770円)
岡真理・小山哲・藤原辰史「パレスチナのこと」(1980円)
GAZETTE4「ひとり」(誠光社/特典付き)1980円
スズキナオ「家から5分の旅館に泊まる」(サイン入り)2090円
向坂くじら「犬ではないと言われた犬」(1760円)


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