見出し画像

レティシア書房店長日誌

「もやと風の中で」油田さや香絵画展

 昨年2月に続き、油田さや香さんの絵画展を開催します。

 この一年間、ともかく絵を描き続けたという作家は、独特の色使いに磨きがかかり、構図にもためらうことのない力強さが表れています。ひとつひとつは、何かしらの物語があるに違いないのですが、それは風のようにスーッと流れていくようでもあり、昔どこかで聞いていたおとぎ話の一場面のようだったりします。作家自身の思いは、見る人によって感じるままにまた違う思いになり、それがゆっくり伝わっていく静かな物語。
 読みかけの本を置いて眠りに落ち、静かな夢をみている人、帰り着いた自分のお気に入りに囲まれた部屋で、物思いに耽る人、頬に触れた風の中で佇む人、自室で本を眺めてめぐる季節を想う人、どの人も少し距離を置きながらも親しげで、温かで、清浄な空気の中で時がゆっくり流れています。


もやと風の中で

「もやを掃わずに 風を誘わずに 身を任せ しばらくこのままでいよう 
 意思と偶然を織り重ね もう放り出したら 少しずつ現れるもの やさし 
 くみつめて  感じる美しさを大事に  一枚ずつを描きました」
今回の個展のために書かれた文章ですが、たくさんの絵を描き、自分の世界を作り上げたという作家の自信を感じます。そして、まだまだこの先に続く新しい展開を期待します。
 嵯峨美術短期大学美術学科卒業後、油絵制作を経て、現在は水彩絵具を主に使って描いています。秋が深まっていく中、油田さんの世界に浸ってみてください。(女房)


渡る鳥たち

⭐️「もやと風の中で」油田さや香絵画展は10月15日(日)まで
  13:00〜19:00  (最終日は18:00まで) 月火定休

✴️レティシア書房のギャラリーご案内
 10/18〜10/29   中尾真理子「額とマフラー展」
 11/1〜11/12    静峰展「装う書」

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?