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レティシア書房店長日誌

あさいち」(語り/輪島・朝市の人々 絵/大石可久也 復刊1100円)
 
 
本書は1980年に発行された絵本です。今回、復刊されました。早朝、漁から戻った船から、採りたての魚が水揚げされるところから始まります。一方、畑の方でも収穫が始まります。
 「おらちの はたけは ゆきのした。みずなも ねぎも ゆきをかきわけて ほる。 あしのさきから ちびてえぞ。あらいばの みずは てがきれるみてえだ。」と言いながらおばあちゃんは野菜を土から抜いていきます。

朝市の準備シーン

 そして、輪島の朝市へと、魚を積んだおばちゃん、野菜を積んだおばあちゃんが歩いていきます。その町の風景や人々の様子が、あたたかいタッチで描かれて隅々まで楽しい雰囲気が伝わってきます。朝市の準備が活写されていて、ほら、元気な声が聞こえてきます。
「あさいちどおりは みせが ぼちぼち ならんどる おらの みせをだすのは たばこやのまえ おらは でんきやのまえ。まいにち みせをだすばしょはきまっとる。」
「こうてくだー あかがれい いらんけ こもちやぞ」、「ふぐ いらんけ。まふぐ、さめふぐ、きんふぐ。おくさん、ふしぎなもんで どくのつよいほど うまいげね」、「まけとくさ こうてくだし。かおり まったけ、あじ、しめじ。しめじは いらんけー」
 これはぜひ、音読をおすすめしたいです。市に座ってお客さんを呼び込むおばちゃんの気分で声を出してみたら、晴れ晴れした気分になるかも。
 商品が売れて、朝市が終わりに近づきます。「よめは こんなさぶいひに いちに でんでもええと ゆうてくれるが、うちで こたつのもりをしとっても つまらんしねえ」と、おにぎりを食べながらまだまだおしゃべりに花が咲きます。

 寒い朝、おばあちゃんたちのいつもの会話だけで綴られた絵本です。こんな当たり前の朝がずっと続くと思っていたのに、今年1月の大地震で、朝市の場所は大きな被害を受けました。今回、被災地復興の願いを込めて、復刊されました。なお、本の利益は義援金として寄付されます。

レティシア書房ギャラリー案内
3/27(水)~4/7(日)tataguti作品展「手描友禅と微生物」
4/10(水)〜4/21(日)下森きよみ 絵ことば 「やまもみどりか」展
4/24(水)〜5/5(日)松本紀子写真展

⭐️入荷ご案内モノ・ホーミー「貝がら千話7」(2100円)
野津恵子「忠吉語録」(1980円)
石川美子「山と言葉のあいだ」(2860円)
文雲てん「Lamplight poem」(1800円)
「雑居雑感vol1~3」(各1000円)
ジョンとポール「いいなアメリカ」(1430円)
坂巻弓華「寓話集」(2420円)
「コトノネvol49/職場はもっと自由になれる」(1100円)
「410視点の見本帳」創刊号(2500円)
福島聡「明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか」(3300円)
飯沢耕太郎「トリロジー」(2420円)
北田博充編「本屋のミライとカタチ」(1870円)
友田とん「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する3 先人は遅れてくる」(1870円/著者サイン入り!)
中野徹「この座右の銘が効きまっせ」(1760円)
青山ゆみこ「元気じゃないけど、悪くない」(2090円)
Kai「Kaiのチャクラケアブック」(8800円)
「うみかじ7号」(フリーマガジン)
早乙女ぐりこ「速く、ぐりこ!もっと速く!」(1980円)

百万年書房

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