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レティシア 書房店長日誌

追悼、ロビー・ロバートソン
 
 
ロビー・ロバートソン死去のニュースが新聞に載ってるよと女房に教えてもらいました。長い闘病生活を送り、80歳でこの世を去ったということでした。 The Bandのメンバーとして中心的存在として長きにわたって活動し、バンド解散後もソロとして、映画音楽家として活躍してきました。私にとって、The Bandの音楽イコールアメリカの音であり、最も好きなバンドでした。
 1943年、カナダに生まれたロビーは貧しい環境の中で育ち、7歳でギターを覚えロックに夢中になっていきます。やがて、ボブ・ディランのバックバンドを経て、1968年The Bandとしてデビューします。ブルース、カントリー、ソウル、R&Bなどアメリカ音楽のルーツ的なサウンドを取り込み、複雑で、多彩な世界を教えてくれたサウンドは、今も新鮮に響いてきます。


 単純なロックンロール的な音作りではなく、どこか儚げであったり、哀愁を感じたり、ペシミスティックであったり、あるいは重厚であったりと様々な表情を見せてくれるThe Bandの音楽にのめり込みました。処女作「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」の「ザ・ウエイト」は、さぁ、旅立とうという爽快な気分を与えてくれます。また同アルバムに収録されているディランのカバー「アイ・シャル・ビー・リリース」ほど、そっと包み込み孤独を和らげてくれる曲はないと思っています。
 このアルバムが最高という音楽ファンの方が大半だと思いますが、私は「アイランド」というアルバムを強くお勧めします。一曲目「優しい雨のように」は、行き場をなくして彷徨う男の物語ですが、ミディアムテンポの心地よいサウンドに、ぐっと酔わされます。孤独、哀愁をロックで表現するとこうなるのかなと思います。こういうアルバムのホントの良さって、もしかしたらある程様々な経験をしたあとでないと、心の奥に響いてこないかもしれません。大人のロックですね。

 音楽で人は救えない、しかし寄り添ってくれる、というようなことを坂本龍一が言ってましたがThe Bandの音楽は、今もそしてこれからもずっと私に寄り添ってくれる存在です。
彼らの音楽には、アメリカの土の匂い、風が常に漂っています。アメリカの乾いた大地でこそ、そのサウンドは映えるものだと思っていました。しかし、数年前に北海道で知人の車に乗せてもらった時に、「ザ・ウエイト」がスピーカーから聞こえてきました。思わず涙がこぼれました。日本の風土でも通じるんだ! ありがとう、ロビー、素敵な音楽を。

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