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レティシア書房店長日誌

「村上隆もののけ京都」展
 
 
現代美術の最前線をひた走る村上隆の大規模な個展が、京セラ美術館で開催されています(9月1日まで)。TVや雑誌で、作品はよく目にしていても特別興味はなかったんですが、主に海外を中心に活動してきた村上にとっては、8年ぶりの、しかも東京以外での大規模個展なので一度は観ておこうかと出かけました。しかし、実物を目の前で見ると、その迫力と細部まで書き込まれた筆の力に圧倒されました。
 東京芸大で日本画を専攻していた村上が、大きな影響を受けたという京都を中心に活躍していた江戸時代の絵師たちの代表作を、独自に解釈して再構成した作品が、会場に並んでいます。
 入場してすぐに、岩佐又兵衛の「洛中洛外図屏風」を元にした村上版「洛中洛外図」に驚きました。17世紀初頭に描かれた岩佐又兵衛の傑作は、京都の市街(洛中)と郊外(洛外)の景観、風俗、庶民の生活などを細かく描きこんだ屏風絵です。村上はその作品の3〜4倍の全長13メートルに及ぶサイズで作り上げました。完全に足が止まりましたね。一日中見ていても、きっと飽きない。
 

「洛中洛外図」

 さらに、曾我蕭白の「雲龍図」(18世紀)に挑んだ全長18メートルにも及ぶ「雲龍赤変図」。撮影OKだったので写真を撮りましたが、その大きさがわかるでしょうか。
 美術史家辻惟雄の著書「奇想の系譜」に、村上は大きな影響を受けていたそうですが、その辻に「あなた、たまには自分で描いたらどうなの?」と言われて、発奮して描いたのがこのバージョンです。ちなみに、村上は多くのスタッフを抱え、共同作業で作品を作り上げています。

「雲龍赤変図」

 ど迫力のこの作品の後には、誰もが知っている「風神雷神図」が待っていました。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一などによって描かれてきた「風神雷神図」が、100%脱力系のゆるキャラ風で、思わず笑ってしまいましたが、言うまでもなく作品の隅々まで美しい仕事です。久々にどえらいパワーを持つ芸術家の熱量を感じた展覧会でした。超おすすめです!
 

「風神雷神図」


●レティシア書房ギャラリー案内
6/5(水)〜6/16(日)村瀬進「植物から、本から」出版記念原画展
6/19(水)〜6/30(日)書籍「草花の便り」出版記念原画展 西山裕子
7/10(水)〜7/21(日)切り絵展 後藤郁子
7/24(水)〜8/4(日)「夏の本たち」croixille &レティシア 書房の古本市

⭐️入荷ご案内
友田とん「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する3 先人は遅れてくる」(1870円/著者サイン入り!)
川上幸之介「パンクの系譜学」(2860円)
町田康「くるぶし」(2860円円)
Kai「Kaiのチャクラケアブック」(8800円)早乙女ぐりこ「速く、ぐりこ!もっと速く!」(1980円)
つげ義春「つげ義春が語る旅と隠遁」(2530円)
山本英子「キミは文学を知らない」(2200円)
たやさないvol.4「恥ずかしげもなく、野心を語る」(1100円)
花田菜々子「モヤ対談」(1870円)
子鹿&紫都香「キッチンドランカーの本」(660円)
夏森かぶと「本と抵抗」(660円)
加藤和彦「あの素晴らしい日々」(3300円)
Troublemakers (3600円)
若林理砂「謎の症状」(1980円)
宇田智子「すこし広くなった」(1980円)
おぼけん「新百姓宣言」(1100円)
仕事文脈vol.24「反戦と仕事」(1100円)
降矢聰+吉田夏生編「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト
(2530円)
「些末事研究vol.9-結婚とは何だろうか」(700円)
今日マチ子「きみのまち」(2200円)
秋峰善「夏葉社日記」(1650円)
「B面の歌を聴け」(990円)
「本と本屋とわたしの話vol.21」(300円)
辻山良雄「しぶとい10人の本屋」(2310円)
辺野古発「うみかじ8号」(フリーペーパー)



 

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