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田舎で~本屋営業日記R5.6.15

町の本屋に転身して3年半、あっという間の時が過ぎていく。元気でやってます。久しぶりのnote投稿は、本屋における税制改革はどんな影響が出るのか雑感を書いてみた。

インボイスという言葉をご存じだろうか?
今年10月からの導入が決まっており、一般消費者は直接的な影響はないものの、事業者は大きな影響が出る可能性もある消費税制度である。

3月のインボイス登録申請から2カ月あまり、名古屋国税局より「適格請求書発行事業者」登録完了の通知が届いた。
つまり、当店はインボイス発行事業者になったという事である。

(インボイス登録事業者通知が届いた)

会社員の頃は、一消費者として消費税はこれ以上あがって欲しくないなぁ程度に思っていたけれど、いざ独立して納める立場も加わるとしっかり制度を知らなければならない。

昨年、インボイスというワードを知った時には、既に今年10月からの運用が決まっていた。数年自営で本屋をしてみたものの、いまひとつ分からないことが多かったので商工会議所で開かれた勉強会にも参加した。
印象とすれば、やはり中小事業者からもあまねく税金を徴収するための制度であろうことは分かったが、私の場合は登録しないことで生じるデメリット(取引きを打ち切られるなど)の方が容易に想像出来たし危惧もした。
当店に置き換えれば、ほぼ9割は店頭販売のお客様だが、外商先のお客様もいらっしゃる。思案はしたものの、やはり安心して利用していただくためにも申請すべきと判断したのだった。
かなり大雑把ではあるけれど、小売業(書店)において商品(本)にかかる消費税はこんな感じになる。
本体1,000円の本は、10%消費税で1,100円で販売する。しかし、このまま消費税分100円を納めるわけではない。
書店の場合、問屋(取次)を通して880円(消費税80円)を支払って本や雑誌を仕入れている。つまり消費される側でもあるが、消費する側でもあるということ。
だから消費税を納める時の計算式は、100円-80円=20円になっていた。
※本則課税の場合
この引き算が出来るか、出来ないかが今回のインボイスのミソになっている。つまり、登録をしない業者からの仕入では引き算が認められないので全額を納めるということになる。
※インボイス登録事業者のみ消費税の仕入税額控除が出来る制度

6月、案の定、ここに来て取引先からインボイス「適格請求書発行事業者」であるかどうかの調査も入るようになった。販売先としては、すべからく仕入税額控除が出来ない業者との取引きを躊躇うようになるだろうし、仮に取引きを継続しても仕入正味を下げてもらうなどの条件変更を求められることも予想できる。

(インボイス登録事業者かどうか?の調査)

さて、当店は自費出版を含めた個人の持ち込み商品や、ZINE・リトルプレスなどの商品群も扱っている。恐らく、今後もインボイス登録はしないであろう個人の商品群である。
これからは、気軽に気楽に置くよ(置いていいよ)とは言えなくなるかもしれない。
いや、それでも条件を話し合った上で独自の商品は置いておきたいな、と思っている・・・。
今後書店企業では、たとえ現場で欲しい仕入れたいと思った商材があっても、インボイス登録事業者でなければ、その判断は本部に委ねられていくことになるだろう。

静岡県で最も小さな本屋。そんな本屋に、大手メーカーの本だけが並ぶようではつまらないではないか・・・。

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