『時は老いをいそぐ』アントニオ・タブッキ
タブッキは時と空間のねじれを記憶を媒体にした文章を音楽的に建築するかのように記録してきたのかもしれない───晩年の短編集を一日一篇ずつ再読していた。僕は心の中でタブッキの感想を言葉にしてはいけないという想いと言葉に残しておきたいという想いでいつもせめぎ合う。
そして知らなければ良かったことも知る───しかしそれは知るべきだった時と空間の記憶として。
読んだ感想のはしがきのようなもの話はすこしタブッキから飛んでしまうけれど、僕は本書を読み終えた日、仕事の関係でヨーロッパ建築