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『スピノザの診察室』『トラや』| 医者だって人間

ここ最近読んだ、2冊を紹介します。
手に取った本は、偶然にもどちらも医師が書いた本でした。

1冊目は『スピノザの診察室』。
2024年の本屋大賞にノミネートされていまして。

2冊目は『トラや』。
図書館で偶然見つけた本。
タイトルに「トラ」とあり、「これは猫にまつわる本だな」と思って。

うつ病で苦しむ著者(医師でもありますが)の日々の傍らには、ずっと飼い猫トラがいた…。そんなお話です。

猫を飼っている人にはオススメしたい一冊です。

読んだ感想をちょこっと書いてみます。

医師は神ではない

当たり前ですが、医者だって人間。
しかも、現代医療では解決できない病気は山ほどある。
医者だって病気になる。

医療の現場にはいろいろあるんだろうけれど、生きるか死ぬかという場面と日々向き合あう仕事というのは、精神的に非常にストレスのかかる職業だと思う。

一生懸命患者と向き合っても、訴えられたり、Googleレビューで批判される昨今。

「カスハラ」が社会問題化しているけど、命がかかっているとなおさら「カスハラ」的なことが起きやすいのでは。

頭が良ければなれるっていう職業じゃない。
相当ストレスフルな職業だと思う。

分かっているのに説教されるのはツラい

『スピノザの診察室』では、末期の患者さんが治療を拒む場面がある。
「先生、わかってくださいよ」と、治療を拒む。

治せば治るなら、何とかして治そうとするのが医者。
ただ、患者が「そこまでして治したくない」と思っている場合もある。

生死をさまよってはいないが、私も気持ちは理解できる。

例えば貧血。
日常生活に支障はないのに、血液検査で貧血と言われる。
貧血を治すために「鉄剤」が処方されるが、あれを飲むと気持ち悪くなる。
飲みたくないから飲まないので、治らない。
だから毎年「病院行け」と説教される。
言われなくても分かっているので、つらい。

白い巨塔って、あるんだろうなぁ

病院で働いたことがないから分からないけど、
今でも「白い巨塔」ってあるんだろうな。
民間企業のピラミッド以上の権力構造なんだろうな、と勝手に想像。

よく、朝の健康番組で「〇〇病院の〇〇教授」と多くの教授が出てくる。
権力的にもスゴイ方なんだろうか、と余計な想像を膨らませている。

おわりに

今回の本は、どちらも医師が書いた本だったが、医師のスキルもありながら、文章を書くスキルにも長けているとは…。

森鴎外も手塚治虫も、そういえば医者だったなぁ。

才能があるのは間違いないが、人間と深くかかわる職業からこそ、深いストーリーが書けるのかもしれない、と感じた。

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