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猪木イズム

アントニオ猪木が亡くなってからしばらく経った。しばらく病気のニュースばかりで、弱ってしまった姿を見ていたので訃報も驚きというよりは、ついにか。。というようなものだった。闘病お疲れさまでした、のような。それほどに、やつれた姿がうつっていたから。


団塊ジュニア世代の男子は相当の割合で小中学校の頃プロレス番組を見ていたと思われるが、毎週の放送でメインイベンターとして登場して、途中ピンチになりハラハラしつつも最後には逆転して勝つその勇姿を興奮して見ていただろう。そして翌日学校でプロレスごっこで復讐し、また試合の感想戦で言語化していった。小学生の目線ではとにかくかっこいいヒーローだった。インディアンデスロックの入り方とかコブラツイストのねじれ具合だとかはもちろん、間合いや視線の移動みたいのも含めてしびれていた。


もう少し時がたって政治家になったり、事業の話題が出たり、遡って異種格闘技戦の逸話を聞いたり、それはポジティブなものもネガティブなものもひっくるめてたくさんあった。SNSもない時代にバズりまくったのはすごい。意図した件もあれば不本意にバズったものもあるだろう。今のようなレベルでコンプラが求められていない時代、いやコンプラ以前のところで結構無茶苦茶があったとは思うし、吉田豪的な意味でその熱量が痛快でもあったし、無責任に面白く「らしい」情報として消費していた。自分たちも大人になってしがらみが増えていく中で、破天荒で忖度なしで想定外なことを起こし続けることの凄さのスケール感を思い知った。プロレスを引退してからは政治家の顔ももちろんあったがとにかく「活動家」と括るしかないような感じだったように思える。


やってきたことも、いろいろ残っている名言やキャッチフレーズ、事件もひっくるめて猪木イズムって一言で言えないよね。ゴッチイズムだとなんとなくわかるけど。一本筋が通った、というよりは常にはみ出して、突き抜けることを考えたあれこれの結果だったんだろうなと思う。人それぞれ印象に残っているエピソードも違うでしょうが、そういう意味で「アントキの猪木」って秀逸で、猪木イズムよりも猪木を捉えられるアプローチではないかと思った。

写真は卍固めにかけてタコです。

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