営業スキルを上げたいなら、営業を受けてみた方がいいよって話。

まぁ当たり前のことなんだけど。
百聞は一見にしかず。

結構「トップ営業マンが語る!」的なセミナーとか研修って多いけど、何百件の営業や提案を受けてきましたって人の話を聞く機会ってあんまりない気がする。

異動して約1ヶ月。
丸6年続けてきた営業から、販売戦略系の部署に移って、営業や提案を受ける立場に変わった。
正直基礎知識もないし、何で比較したらいいかもわからない状態だけど、同じテーマで色んな会社の話を聞いていると、各社のポテンシャルとかアプローチの仕方が全然違うということだけは明確にわかる。
一回の打ち合わせだけでも、もっと話したいと思うか、なんとなく不安だなって思うかも全然違う。

営業をやっていた時も自分なりに一生懸命やっていた自負はあるし、お客さんにも比較的信頼して頂いていたと思う。
それでも提案に負けて悔しい想いをしたことは何度もあったし、何が悪かったのか明確な答えは持てずにいた。
今なら、きっとお客さんはこういう気持ちだったんだなぁと思える。

前提として、全員営業マンとして最低限のコミュニケーション能力や清潔感はあるものとする。
そして、顧客側がそのジャンルの素人かつ目指すイメージがぼんやりしている場合とする。
さらに、求めているものはすでにパッケージ化されたプロダクトではなく、ある程度ゼロから構築していくもの(システム開発等)やコンサルティングの場合に限定する。

営業の立場だった時もよくあった。
お客さんの口からドリームプランや抽象的な要件しか出てこないこと。
内心では「そんなん無理だろ。出来てもいくらかかるんだよ。」って思ってた。
でも、求めていたのはその実現じゃなかったんだなぁ。

期待したくなる営業の何が違うか。
1番わかりやすいのは、表情。
こちらが与件を話しているときに、どうしようって考えてるか、なるほど面白そうって考えているかは、表情をみればすぐにわかる。
前者はやっぱり全て話終わった後に微妙な間が開くし、後者はもう少し突っ込んだ質問に変わるから、こちらも追加の情報を自然と話してる。
私が「無理だろ」って思ってた時は、多分表情に現れていたんだろうな。

あとは、ぼんやりでもいいからその場で大体の金額感の話が出てくるか。
お金の話ってもちろん気になるし、何もこちらも実現したいことをとにかく安くやれって言ってるわけじゃない。
営業時代は初めから高額な費用がかかりますというのに勝手にビビってたけど、お客さんもそれならそれで方向転換するだけの話だし、今思えばそれほど恐れることではなかったのかも。
それよりも無駄な時間をかけずに済んで良かったとも思う。

あとは次回の打ち合わせで出す成果物のイメージを具体的に聞くこと。
勝手に作り込んだものを出さなければと思うからハードルが上がるけれど、お客さんも情報収集段階ではそこまでのものは求めていない可能性が高い。
それよりもスピード感の方が大事だし、特にこれは打ち合わせの順番が早ければ早いほど、成果物は早めに出したほうがいい。
何故ならお客さんも各社に説明しているうちに徐々にビジョンが固まってきていたり、新たな条件が加わったりしていることも多くて、後半に聞いた会社ほど的からずれない。
だから最初に話を聞いた会社は、30くらいの完成度で一度持っていって途中経過を確認しないと、かなり的外れの100に向かっているなんて悪夢は意外とあるあるだと思う。

あと、たとえ失注してもその後お客さんと疎遠にならないこと。
負けるとその後気まずくて行きたくなくなる気持ちは痛いほどわかるけど、別にお客さんも各社に得意分野があることは理解しているし、提案が求めているものに達してなくても、もう二度と来てくれるな、なんて思っちゃいない。
逆に安い会社に頼んでみたけど期待外れだったとかそんなこともあるだろうし、それはそれ、これはこれってケロッとしてた方が、次のチャンスがやってくるかもしれない。
反省しすぎも良くない。

営業側の立場にいると、お客さんの求めていることを全て叶えられないと失格と思っていたけど、下手に無理して得意じゃない部分を取りに行っても大体バレてるし、だったら初めから「この部分はうちは得意じゃありません。でもここは任せてもらえれば価値を提供する自信があります。」くらい堂々と言ってしまった方がいいな。100は無理でも50くらいは取れるかもしれないし、その後の心象もいい。

ビジネスといえど、お客様は神様じゃない。
なんならお客さんが素人であればあるほど、専門家には先導してもらうことを望んでいるし、案外営業も強気でいいんだなぁと、思った。
昔上司が「ここまでやったんだから、注文くださいね」なんて言っていて、よくそんなこと言えるなと思っていたけど、お客さんからしてもそりゃそうだって感じだし、恩を着せるのも大事。

こういうのもっと早く実感していれば、受注率は上がったかもしれない。
何よりもう少し気楽に仕事に向き合えた。
別に病むほど辛いとかではなかったけど、やっぱり負けると悔しくて敗因を自分に求めたりしていた。
負ける原因なんて、そもそも自社の得意分野じゃないとか、どうしても金額が合わないとか、デザインが好みじゃないとか、防ぎようがないことも沢山あるから。

いつかまた営業をやることは、あんまりないかもしれないけど、例えば自分でビジネスをやるとしたら、この感覚は活かしていきたいな。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?