氷室冴子作品 その1
今回は、やっと氷室冴子さんのことを書こうと思います。
何度か下書きはしたんですが、どの作品も好きでとんでもなくまとまらない記事になってしまって💦危うく全作品入れる勢いに……。
そのぐらい好きだった氷室冴子さんの少女小説の数々。大好きゆえに暴走しそうですが、なんとか抑えめにご紹介できればと思います。
氷室冴子さんといえばこの作品。
摂関家の流れを汲む内大臣の姫君ですが、はねっかえりでおてんばな瑠璃姫が自身でも事件を起こしたり、宮中の陰謀に巻き込まれたりといった、平安時代を舞台にしたお話です。ドタバタラブコメから始まるのですが、吉野君編ではなんともほろ苦い結末。帥の宮との対決もハラハラドキドキ。瑠璃姫がだんだん大人になっていくのも楽しい作品です。
国文学を専攻されていた氷室さんですので、同時の風俗なんかもかなり書き込まれていますし、作中に登場する和歌も全てご自身で作られています。とりかへばや物語を下敷きにした、『ざ・ちぇんじ』と合わせて、平安期の古典に親しむきっかけとしてもいいかもしれません。登場する宮中の役職の解説などもわかりやすいですし。
少女小説ですから、口語の軽い文体で書かれてはいますが、ストーリーラインは骨太なので、読み応えアリです!
そして『クララ白書1、2』『アグネス白書1、2』。
いやすごい値段。Kindleで普通に読めますので、興味を持たれた方はぜひそちらで。
北海道のミッション系中高一貫女子校、徳心学園に通う桂木しのぶ(通称しーの)は父の転勤で1人北海道に残ることになり、学園の寮クララ舎に途中入寮することになります。同じく編入生で途中入寮の蒔子(通称マッキー)と菊花の3人で、途中入寮舎に課せられる寮の食糧庫破り&ドーナツ作りに挑むことになるのですが……。
この出来事で仲良くなった3人が、寮生活の中で事件を起こしたり巻き込まれたり。ドタバタ学園コメディではあるんですが、これがまた本当に面白いんですよね。身近にいたら嫌だけど、マッキーがまたいいキャラで。登場人物がみんな魅力的なのもまたいいです。少女小説ですから、それぞれの成長譚もありつつ、全体的にかわいらしいお話。女子校の寮って楽しそう!と思ったりも。
個人的に“奇跡の高木さん”、漫画でも実写でもいいからビジュアル化してほしい……。長身の男前美人でストレートで腰まである黒髪ロング。宝塚男役OBさんとかな感じですかね?いやー、でもピッタリって人が思い浮かばない!
そして外せないのはこちら。
コバルト大賞受賞作の『さようならアルルカン』、そして文庫デビュー作、王道の少女小説(吉屋信子的世界)の『白い少女たち』。一緒に収録されている短編も素敵です。
10代の少女の繊細さ、思春期の刺々しさや苛立ち、焦燥感、そんなものがギューッと詰まっています。
同世代の時に読むと深い共感があり、大人になって読むと愛おしく思える物語。
これに関してはあまり書かないようにしようと思います。前知識なくこの少女たちの瑞々しさに触れていただいた方が楽しめると思いますので。
10代の苛立ちというか、思春期を描いた名作といえば、『海がきこえる』。
惜しくも早逝されたスタジオジブリの近藤勝也氏がイラストを担当されています。ちなみにジブリでアニメ化したものも名作。
上の徳間文庫の表紙の里伽子のキッとした表情も、Blu-rayのジャケットの笑うでも睨むでもなく、無表情でもなく、どうにも周囲と浮いてしまっている里伽子の表情もすごくいいです。
東京から高知にやってきた里伽子。
両親の離婚で引っ越して編入してくるのですが、同級生にも土地にも馴染もうとしない、いつも不機嫌そうな里伽子は皆から遠巻きにされるようになってしまいます。ひょんなことから里伽子の東京行きに付き合うことになる拓。拓と里伽子の関係はその東京行きでもそれほど変わることはありませんが、なんとなくお互いを意識していることは伝わってきます。
ハリネズミのような里伽子と、どこか達観しているような拓、2人の思いが交差することはあるのか……といったようなお話。
拓の視点で物語は進んでいくので、こちらは少女小説というよりは青春小説です。10代のままならなさというか、大人になりきれていないところとか、丁寧に描かれていてこの作品も大好きです。続編の『海がきこえるII アイがあるから』もなかなか良いですよ〜!
とりあえず今回はわりと王道でいってみました。ながくなってしまうので、コメディ色が強くて個人的に好きな作品のことは次回に持ちこそうと思います。
控えめにいこうと思ったのにやっぱり全部書きたくなる💦
ほんとに収拾がつかなくなる前にいったん締めます(笑)。
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