視点を上げること、下げること
長女が5歳のころ、二人でATMに振り込みに行った。長女がタッチパネルを押したがるので、指示しながらやらせてみると、暗証番号の数字は完ぺきに押せた。金額もバッチリ。最後は確認ボタンだ。
「緑のボタンを押して」
すると、ピッ、と間違ったボタン(戻る)を押してしまった。改めて最初からやり直し。
「よし、緑のボタン押して〜」
ピッ。また間違い。やり直し。
「緑だって」
ピッ。また違う。だんだんイライラしてきて、
「もういいっ、パパがやる!」
つい声を荒げてしまった。長女は女の子にしては珍しい色盲なのかもしれない……、そんな不安も頭をよぎった。
振り込みが終わり、機械が処理しているあいだに、ハッと思い当たった。
もしかして……。
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