【読書会】宮本輝『流転の海』全巻読書会~第3部『血脈の火』第3章
こんにちは。
開催当日(23/01/23)になってしまいましたが、読書会用レジュメをお届けします。「登場人物」の項については、適宜新潮文庫の『流転の海読本』(堀井憲一郎)を参照しています。
概略
熊吾が始めた3つの事業のうち、中華料理店と麻雀荘の実質的な切り盛りをしていた房江の疲労も限界に近づいてきていたある日、熊吾の実妹・タネが、母・ヒサと娘・千佐子とともに「訪ねて」きた。城辺を引き払い、大阪で生活をするという。タネは新しい男と生活を始め、ヒサは精神を病み、やがて行方不明となってしまう。
主な登場人物
浦辺ヨネ わうどうの伊佐夫の子・正澄を産み城崎で小料理屋を営む。
呉 熊吾の中華料理店の料理長。
馬場スマ 房江の養母として、毎月無心に来る。
梅子(呉芳梅) 呉の娘。伸仁と仲良くなる。
松坂ヒサ 熊吾の実母。
松坂タネ 熊吾の実妹。
千佐子 タネの娘。
ゴンさん(寺田権次) タネの情夫。やくざもの。
明彦 タネのもう一人の子。タネたちに先立って大阪に来ていて、杉野家から進学先へ通っていた。
丸尾千代麿 熊吾が信頼する、運送会社の社長。
麻衣子 熊吾の旧知である周英文の娘。井手と別れるが、複数の男が言い寄ってきていた。
あらすじ
昭和28年。房江は浦辺ヨネに2日かけて、苦手な手紙を書き上げる。
タネが、ヒサと千佐子を連れ立って訪ねてくる。城辺の実家は引き払っているという。
熊吾らと共に、先に大阪に来ていた明彦は、タネたちと暮らし始めていた。
房江が、タネが新しい男の寺田権次とも暮らしていることを知る。
昭和29年正月。千代麿とヨネが訪ねてくる。麻衣子のことで相談される。
ヒサが熊吾たちと暮らし始めて1か月。出歩いて行方知れずとなることを繰り返すようになる。
4月、ヒサの行方がわからなくなる。
ポイントとメモ
このタネという女の愚かさは言語を絶している。夫がこの妹を罵倒するのは当然だ。でも、仕方がない。タネはタネで、生きて行くしかないのだから・・・(p.169)
蛇は自ら蛇を知る(p.176)
人を可哀想なめに遭わせて平気なやつばっかりじゃ。自分さえ良けりゃええっちゅうやつばかりじゃ(p.181)
愚かは悪じゃ(p182)→「貪瞋痴」=仏教用語で、「三毒」と言われる、人間の不幸の根源。「貪欲」「瞋恚(しんに)=いかり。自分の欲するところのままにならないことに対する怒り」「愚癡(ぐち)=物事の道理に暗いこと」。
そのような不安にかられると、房江は、むしょうに酒を飲みたくなるのだった(p.183)
逆に、ひとつのことが満足にできんやつは、他の何をさしても半人前以下やということになるんじゃ(p.184)
教育ではのうて拷問じゃ(p.185)
追記
ライブ収録バージョンを以下に添えておきます。
今回の「レジュメ」は以上です。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!
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