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読書会についての基本的なスタンスをお話しします。

 こんにちは。すたんどと申します。私は2018年の10月下旬から読書会をZoomを介して、つまり「オンライン」で開催しています。これには、いくつかの事情があるからなのですが、今回はそれについての説明は省かせていただきます。

 実のところ、この2018年に開始したZoomでの読書会以前に、Skypeを使ったり、Twitterを掲示板に見立てて書き込みを行っていただく疑似読書会を行ってもきました。ですので、累計してみると3年間以上、「オンライン」で読書会を行ってきたと言っていいと思っています。まあしかし、ここでは長くやってるんだぜ、というマウントを取ることが稿の目的ではありません。ここで書こうとしていることは、読書会を通じて、何を実現したいと考えているのかについてです。もっとも、下準備をして書いているわけではありませんので、その点お含みおきくださいますと幸いです。

 2018年に開始した以降、しばらくの間は毎週土曜日の夜に開催してきました。主に、
①各位から本を推薦していただく「推し本」紹介の回、
②私がその都度読みたいと思ってきたテキストを講読する回、
③読書に関連するテーマを設定してのテーマトークの回、
を柱として行ってまいりました。

 講読してきたテキストとしては、
①友だち幻想
②読書力
③こころ
④人間失格
⑤夜と霧
⑥モモ
⑦こころの処方箋
等が挙がります。直近では2020年5月9日(土)に、村上春樹さんの『職業としての小説家』を取り上げます。これらのテキスト間には、何かの関連性があるわけではありません。共通項としては、「私が読んでみたい/再読したい」というものが選ばれています。これは「主催者特権(!)」として行使させていただいています。

 なお、テキストの講読の回であっても、テキスト未読あるいは未入手の方のご参加を妨げるものではありません。「聞き専」としてのご参加を歓迎しています。

 テキスト講読の回に臨む際の下準備としては、
①全体を通読。基本的には、線を引くなどのマーキングを施す、
②マーキングしたところをピックアップしながら、メモアプリ等に書き写す、
③プリントしたり、書かれたものに再度目を通しながら、話そうとする内容を考える、
といった手順を――毎回ではありませんが――踏む、といった感じになります。

 では、「自分の意見」というものは、どこに介在するのだという疑問をお持ちになる方もいらっしゃるかと思います。ピックアップしたところをまとめるだけでは、それは既に本に書かれているだけのものであって、それ以上ものではないとする意見があろうかと思っています。

 しかしながら、私は2つの点で先に述べた手順だけでも十分であると考えます。

①「自分の意見」は、そうそう簡単に出せるものではない。感じたままに話したり書いたりすればいいというのは、極論すれば「嘘」であると考えています。相当の訓練を受けて(あるいは自身に課して)いなければ、思ったこと、感じたことを表現することは難しいのではないでしょうか。

②何が、あるいはその本のどこが大事であると考えたのかということは、そのままその読み手の「個性」の表出なのだと思います。十人の読み手がいれば、十通りの大事な点、ポイントが浮かび上がってくるはずです。その違いを、彼/彼女は、なるほどそういう所を大事なポイントと考えたんだな、なるほどな、と違いを楽しむことが、読書会――敢えて言えば「共読」――の醍醐味なのではないかと思うのです。

 それでは、私はそうした営みの向こう側に、何を展望しているのかについて、ラフなスケッチをしておきたいと思います。

 人と人とは、あるものや、あること、ある体験を共有することでつながり合うことができるのだと思います。それは共通の思い出であるとか、仕事であるとか、よく言葉の意味はわからないのですが、共同幻想であるとか。そこに、「理念(ビジョン)」であるとか理想であるとか、そういった事柄も付け加えていいのではないでしょうか。

 私は、読書そのものが、ある種の「体験」だと考えています。それは新しい自己との邂逅であったり、世界との新たな関係を取り結ぶといった、それまでの自分を揺さぶり、一種の緊張関係を生み出すことで、「いま」の自分を相対化し、より豊かな自分を創り出すことができる行為なのだと思うのです。その作業を共同で行うことで共有し、つながり合う。それが読書会の「一側面」なんだと考えます。

 とまあ、コリクツをこねくり回してきましたが、もっとストレートに言うと、いい音楽を聴いた、すてきな映画を見た、おいしい料理を食べたのが、一人でではなくて、誰かと一緒にする。「ああ、今日の料理はおいしかったね」と、「喜び」を分かち合う。読書で得られた体験も、共有されることで、一段深い喜びとして刻まれると思います。読書会が、そんな場として参加者の皆さんに供されるのであれば、いや、供していきたいというのが私のスタンスだと思うのです。

 もちろん、これは2020年5月8日現在での「中間報告」であるに過ぎません。後日、変化があるかもしれないし、その時にまだnoteを続けているのであれば、書き直してみたいと思っていますので、その節はよろしくお願いいたします。

 なお、この稿は有料設定をしてありますが、これで全文となります。お気に召していただけたのであれば、「投げ銭」をお願いいたします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。ではまた!

◆参考文献


【24/01/10追記】
知人から、この稿がnoteからお勧めされていたと知って追記しようと思い立ちましたが、大筋ではその必要がないと考え直しました。また改めて「ゼロ」から書き直すことがあるかもしれません。しかし、その場合でも、基調とするところは変わらないと思います。

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