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【本070】『最後の医者は桜を見上げて君を想う』

著者:二宮敦人、出版社:TOブックス

1年以上ぶりの投稿。久しぶりに自分の投稿記事を読んだら、ちゃんと読書ノートをつけておけばよかった...と、思いました。登場人物の人生を一緒にたどりながら、多くの気づきや感動がそこにあって...本を通して、私はかけがえのない体験をしているなーと、あらためて思いました。年間80冊〜100冊小説を読んでいるので、そのすべてを記すのは大変だけど、でも、時々は書こうと思います。

今日ご紹介するのは3人の医師の物語。
「とある会社員の死」
「とある大学生の死」
「とある医者の死」
それぞれの医師が余命幾許もない3人の患者に対して、どのように心を通わせていくのか、そして、患者はどのように死を受け入れていくのか、とても丁寧に描かれた小説です。

完治しないとわかっていても、最後まで病気と戦わせる福原。彼にとって死は敗北であり、勝利のために患者を最期まで鼓舞し続けていきます。
それと対照的に、死を受け入れ死とともに歩むことこそが大切と言う桐子。死は決して敗北ではない。福原とは治療方針をめぐり常に対立をしていきます。
一方、音山は、生と死の間で、患者と一緒に悩み、患者に選択肢を与えながらも心が揺れ続けています。

患者も相対する考えをもつ医者と出会い、自分の死の受け入れ方を決めていきます。死はだれにでも、1度限り。戦い抜くのもひとつの生き方だし、残された余命を愛する人たちと過ごす時間に使うのもひとつの生き方。

私ならどんな選択をするのかな。難しい...
ただ、ひとつ言えることは、死は敗北ではなく、死は生とともにあるってこと。そして、どんな選択をしても、自分の周りにいる愛おしい人たちの生のざわめきの中で、自分の死が温かく受け入れられるといいなーと思いました。


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