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「ラブコメ」というワードへのアンビバレントな想い

皆さん、こんにちは~! 書肆喫茶moriの店主です!

サウザンコミックス第9弾ユベール&ザンジム『Peua d’Homme(男の皮)』のクラファンがスタートして早くも10日が経ってしまいました…!

えっ!?!?もう10日!?!?(正確には11日…!)
早すぎんか、時間よ!

スタートする前は3ヵ月って長すぎない?とか思っていましたが、
このまんまあっという間に過ぎ去りそうでひやひやしております…!

これまでに70名を超える方にご支援いただき、目標金額の16%まで来ました…!
すでにご支援くださった皆さま、本当にありがとうございます!!!

でもアレなんですよ……。
いちおうクラファンの統計データみたいなものがあるそうで、それによると10日で30%まで到達しているとプロジェクトの達成率がかなり高いそうなんですね。
そういう意味でいうと『男の皮』はまだまだ頑張りが足りない。
さてこれからどうやってこのプロジェクトをたくさんの方に知ってもらってご支援をいただくか、と悩み中の毎日です。

プロジェクトのページではちょうどクラファン開始から1週間の時点で「発起人、書肆喫茶mori店主より皆さまへのご挨拶」として初めての活動報告をアップしました!
まだお読みでない方は、クラファンへのさまざまな思いを改めてしたためておりますのでぜひご覧ください!

この中で私は『男の皮』を「ラブコメ」として紹介したいという思いを述べました。

それはテーマ性を前面に打ち出すことで堅苦しい作品と思われたくなかったから。
私が最初に感じた読後感が「なにこのめちゃ面白いラブコメは!?」だったからです!

「発起人、書肆喫茶mori店主より皆さまへのご挨拶」より

最近の海外マンガはかっちりとしたテーマ性の強いものが多いし、『男の皮』にもそういう要素はあるけど、どっちかというとエンタメとして楽しんでもらいたいという気持ちが強くあるんですよね。

エンタメとしてめっちゃ面白い、でもよくよく読み込むと深い。

みたいなマンガが個人的に大好物な人間なのです。

ただこの「ラブコメ」というワードが敬遠されて逆効果になってるかも、という意見がサウザンブックスさんや編集主幹の原正人さんとの打ち合わせで浮上しました。

皆さん「ラブコメ」ってどういうイメージですか?

私は単純に「ラブ要素が中心のコメディ」くらいに思ってるんですが。

『男の皮』も、主人公ビアンカが着ると男になってしまう「男の皮」を手に入れて、少年ロレンツォになって親が決めた結婚相手であるジョバンニに会いに行くけど、実はジョバンニはゲイで、しかもロレンツォと恋仲になっていまうという「ラブ要素」が物語の中心にあるストーリー。

箱入り娘のビアンカが、刺激的な外の世界を見せてくれて初めての体験をたくさん教えてくれるジョバンニに惹かれていったり。
ただジョバンニからはビアンカではなくロレンツォとして愛されることに戸惑いや複雑な思いを抱いたり。
ジョバンニがビアンカとロレンツォが同一人物とは知らなくて、ビアンカに冷たい態度を示すことに悲しんだり。

『Peau d’Homme(男の皮)』P48-49


胸キュンポイントがたくさん詰まってるんですよ…!


それから、妻(ビアンカ)でありながらゲイの夫の愛人(ロレンツォ)になるっという一人二役というか、二人で三角関係みたいな複雑で楽しい関係に陥っていく。
それもシリアスな恋愛ものというよりは、恋愛ゲームというか恋の駆け引きというか、ドキドキハラハラするんだけど、どこかキッチュなところやコミカルなところもあって、このふたりどうなるんだー!?!?!って物語の中にぐいぐい惹きこまれていく…!

ロレンツォとジョバンニ(『Peau d’Homme(男の皮)』P55)
ビアンカとジョバンニ(『Peau d’Homme(男の皮)』P82)
男装したビアンカとジョバンニ(『Peau d’Homme(男の皮)』P100)

それに加えて、主人公のビアンカは初めは箱入り娘で母親や既婚者の友人が「女はこうあるべし」をしぶしぶ受け入れていたけれど、少年ロレンツォになって外の世界を知ることで、そういった世界が理不尽に満ちていることに気づき、世の中に抗っていく。そのあたりはビアンカが言いたいことを代弁してくれるようでスカッとするし、とても痛快な読み心地。

そんななんやかんやを含めて、一言でこの作品を言い表すのに何か良いキーワードがないかと思ったときに浮かんだのが「ラブコメ」という言葉だったんですよね。

うーん、なんかジャンルの難しい作品なんですよね。
原書の出版社であるグレナのサイトをみると「歴史」ジャンルになっていて、確かにルネッサンス期が舞台のマンガだし、ルネッサンス期の実在の人物や出来事をモデルにしている部分もあるのですが、描かれている内容はとても現代的で今を生きる人々にこそ共感できるポイントがたくさん織り込まれているし……。

ただ確かに日本の「ラブコメ」という言葉のイメージとは少し違うかもしれません……。

語り口は軽妙ですごく読みやすいけど、内容はかなりディープだし、可愛くディフォルメされた絵柄ながら描かれている内容はエロコメと言ってもいいほどエロティックだったり、けっこうキッチュというか俗悪というか、清濁の濁の部分もがっつり含有しつつ、それをじめじめ湿度高く描くのではなくさらりと上品にコーティングしてしまうところがある意味フランスのマンガらしいともいえる……。

もちろん「ラブコメ」と言わずに「ラブストーリー」と言ってもいいのかもしれないけど、あの独特のちょっとしたシニカルさみたいなものが払拭されてしまうようにも思うし……。

と、まあもやもやもやもや考えているわけですが、それにつけても読んだ皆さまがどのように『男の皮』を評されるのかますます知りたくなるし、そのためにはまずは日本語版をお届けしないといけないという思いを強くしています……!

ということで、ちょっとでも読んでみたいなと思われた方はぜひご支援ください!!
なにとぞよろしくお願いいたします!!!


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