マガジンのカバー画像

一読の夢~短編小説集~

107
ジャンル問わず、全短編をまとめたものです。 更新は不定期。小説を読みたい方はぜひ読んでみてください。
運営しているクリエイター

#不条理小説

言牢

■まえがき通常の更新は本日はお休みさせていただきます。 なにぶんばたばたとしてしまってい…

水瀬 文祐
2か月前
116

■通常の更新はお休みです昨日から風邪をひいてしまい、発熱のため小説を考えることができま…

水瀬 文祐
2か月前
120

砂城建築家

 砂の城を作る。繰り返し、何度も何度も。楼閣や天守などいらない。山のような砂に入り口の穴…

水瀬 文祐
3か月前
126

河童狂騒曲

 台所の扉を開けると、河童がいた。目が合った。扉を閉めた。  解放感に満ちた、爽快な朝の…

水瀬 文祐
3か月前
122

鉛の骨

■前書き今日は人間ドックに行って参りました。 小雪が降る中、検査着は寒く、すっかり冷えて…

水瀬 文祐
4か月前
100

発券係

 鈴木はⅩ市に引っ越した。  アパートの大家に引っ越しの挨拶で菓子折りを持っていくと、最…

水瀬 文祐
4か月前
84

 宮本くんが鳥になった。  国語の時間中、何かむぐむぐ言っていたかと思うと、突然手をばたつかせて立ち上がり、そうして手を上下に動かしている内に手が青い翼になって、尖らせた唇がみるみるうちに黄色い嘴になった。体は柔らかそうな赤い羽毛になって、そうして宮本くんは鳥になった。  僕はそれをちょうど後ろで見ていて、わあと驚いた拍子に立ち上がって、隣の席の山科さんの教科書を腕ではね上げてしまった。教科書が鳥のようにページを羽ばたかせて宙を舞うのと同時に、宮本くんも翼を大きく振って飛び立