マガジンのカバー画像

一読の夢~短編小説集~

136
ジャンル問わず、全短編をまとめたものです。 更新は不定期。小説を読みたい方はぜひ読んでみてください。
運営しているクリエイター

2024年3月の記事一覧

眠る街と羊と牧羊犬

 治癒者(ヒーラー)なんて必要ないから!  茜は上等なカシミアのスーツを着た、一見セール…

水瀬 文祐
5か月前
119

砂城建築家

 砂の城を作る。繰り返し、何度も何度も。楼閣や天守などいらない。山のような砂に入り口の穴…

水瀬 文祐
5か月前
131

天使の隠れ家

 当たり前に明日がくる。そう信じて、いや、きっとそんなこと考えもせず、僕は眠りについた。…

水瀬 文祐
5か月前
161

 地面にくっきりと刻まれた二本の線が少年、ユールの目の前から、ずっと彼方へと伸びているよ…

水瀬 文祐
5か月前
121

陽だまりに月

 ある日突然太陽が黒化した。熱は変わらず放射し続けるものの、光を放たなくなった。つまり、…

水瀬 文祐
5か月前
115

雫姫

 むかしむかし、戦国の世のことでした。  え? 昔話は辛気臭くていやだ?  いや、困りまし…

水瀬 文祐
5か月前
121

河童狂騒曲

 台所の扉を開けると、河童がいた。目が合った。扉を閉めた。  解放感に満ちた、爽快な朝のはずだった。両親は「結婚記念日なの」と気色悪いウインクを残して旅行に出ていて、わたし一人がこの家で我が物顔にテレビを独占してゲームに明け暮れたり、口うるさい母親の目を気にせず冷蔵庫に買いだめしておいたスイーツパーティを開催したり、お風呂に父親のプレーヤーを持ち込んで映画観賞会を開こうと思っていたのに、出だしから躓いた。  いや、あれは浮かれすぎたわたしを戒める幻覚かもしれない。そう思って再

パッチワーク

 世界が滅亡するスイッチが作れたらどんなにいいだろう、と慎吾は高校生にもなってそんなくだ…

水瀬 文祐
5か月前
130

牙か剣か

■まえがき子どもがサッカーをやっているので、それにちなんだ小説を書いてみました。スポー…

水瀬 文祐
5か月前
116

カメリア

■あらすじ呪わしい伝承が残る家に生まれた椿。彼女は将来有望な陸上の選手だったが、怪我と…

水瀬 文祐
5か月前
112

写真小説家~歌姫の断片~

■あらすじ写真を撮るように、目の前の景色や出来事を書き記す「写真小説家」。それを生業とす…

水瀬 文祐
5か月前
414

シュラーク

※注意! 今回の短編小説には残酷な表現、グロテスクな描写が含まれますので、苦手な方は閲覧…

水瀬 文祐
5か月前
91

箱庭の天使たち

 世界が滅ぶんだ。今日このときを以て。  パズルのピースが剥がれていくように、街が、地面…

水瀬 文祐
6か月前
127

蟹壺(第1話)

■あらすじ 心を病んでしまった主人公が田舎の町で出会ったのはいずみというどこか妖しげな美しさを漂わせた少女だった。彼女と出会い、魅せられてしまった僕はいずみのいいなりになって死体の処理を手伝うことに。死体を処理した場所こそ、蟹の住処とされる「蟹の壺」と呼ばれる地だった。  時が流れ、大学生の「僕」は大学の屋上でいずみと名乗る女性と出会う。彼女に誘われるままにアパートへとついて行き、いずみが席を外した機会に部屋の中を検めた僕は主人公を見つける。  その修羅場はなんとか潜り抜けた