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【017】徳川家康が言い残した言葉。辛いことを言ってるかと思いました。

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。おのれを責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり。

皆さんは、「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」で始まる徳川家康の遺訓(故人や父祖の(言い)残した教え。)を知っているでしょうか。

徳川家康は、織田信長、豊臣秀吉に次いで天下統一を果たし、1603年〜1867年までの265年間続いた江戸時代の礎を築き、平均寿命が32歳〜44歳だったと言われている時代に75歳まで生きた、日本の歴史の中でもなかなか見かけることができない偉人です。

この家康の言葉を知って私はまず、「そんな辛いこと言わないでよ。」と思いました(笑)。

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。

まず一言目は、「人の一生は重い荷物を持って遠い道を行くようなものだ」と言っています。僕なら、誰でも重い荷物を持ちながら歩くのは大変だし、それが人生全てがそうだと言われてしまうと、そんな辛いことできないよ。と思ってしまいます。

ですが、家康が意図していたことはそうゆう意味ではありませんでした。そのすぐ後ろに、「急ぐべからず(急ぐ必要はない)」と書かれています。

よくよく考えると、人生では歳を取りながら人間関係での悩みを抱えたり、仕事での責任を応用になったり、うまくいかないことがあったり、数多くの困難(重い荷物)を経験するかと思います。

さらに、寿命が30~40年だった過去と比べると、今は人生100年時代だと言われており、いいことも悪いことも含めより多くの経験をする時間があります。だったら、急ぐ必要はないじゃないか。と言うことでしょうか。

不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。

一文目に続いて、「不自由なことが普通だと思えば、足りないということがなくなる。心に欲望が出てきたら、困っていた時を思い出すのが良い。」と言っています。

今は、日本にいれば、食べ物に困ることも争いに巻き込まれることもほとんどないし、誰もがスマホを持っていて自由に人と繋がったり、世界中の情報を得ることができたり、自分を発信することができます。

このような環境の中だと、”足りている”または”足りない”と言う状況がなんなのかがわからなくなってしまうように思います。

テレビやSNSを見ていると、隙さえあれば何かのPRや広告を目にして、私たちの欲求を刺激し、消費を促しているように思えます。この状況で、本当に必要なものはなんなのかや、足りているという状況がどんなものなのかを考えることは難しいかもしれないし、ある意味、それを曖昧にすることで消費が促されて経済が回っているとも考えられます。

堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。

自分自身がどんな状態が足りている状態なのかわからないと、ほかの人にはあって自分にはないものを欲しがったりなぜ自分だけこんなことになるんだと怒りの感情が生まれることもあるかもしれません。

常に自分は誰もが持っているものを持っていて、ほかの人よりも優れていることを証明しようとしたら、今では比較対象が多すぎていつまで経っても満足できなくなってしまいます。

そして終いには、暴力で人を支配しようとしたり、終わらない物欲に支配されたり、必要以上に自分をよく見せようとしたりして、自分で自分を苦しめてしまうかもしれません。

勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。

勝つことばかり知って、負けを知らないことは危険である。大事は小事より起こると言う言葉にあるように、大きな事件や問題は、必ず取るに足らない小さなことが原因で起こると言われています。

このように、勝つことだけを知って、負けることを知らない(認めない?)人は、小さな失敗を見落とすことに繋がり、結果大きな失敗を招いてしまうかもしれません。

おのれを責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり。

そして、最後に「原因は自分にあると考え、人を責めないこと。そして、足りないことはやり過ぎることよりも良い」と言っています。

何かの問題が起こった時に、他人が悪くて自分は悪くない。としてしまうのは簡単で楽なように思えます。しかし、それでは同様の問題が起こった時に、次は自分ができることを事前に対処をしようということもなくなり、長期的に見たら自分で困難を増やすことになります。

また、腹八分目に医者いらずと言う言葉があったり、寝過ぎて頭が痛くなったり、飲み過ぎて二日酔いになったり、何事もやり過ぎは体に悪いと言われています。

さらに、自分で取り過ぎないことで、その分ほかの人にも行き渡ることにもなるので人間関係でもやり過ぎよりも少し足りないくないの方がいいのかもしれません。

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。おのれを責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり。

長くなりましたが、一見、すごい辛いことを言っているかのように思えた徳川家康の遺訓ですが、よくよく考えてみると、世の中を生きていくための含蓄に富んだ素敵な言葉だなぁと思いました。以上です。

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