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#1000文字小説

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小さな小さな箱の中から、無限に広がる世界をあなたに。
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#1000文字小説

物書きを自称する人

物書きを自称する人①: ベルトコンベアーの上に載せられたカップラーメンの箱の上に、緑色の…

一作
2年前
14

盗作詩

唐突だが、たまたま拾った百均のメモ帳に書かれた言葉ほど、面白いものはないと思う。それは太…

一作
2年前
15

マイルドセブン

テニスコートの上は真夏の光にさらされ、余計な蒸気が肌に不快な潤いを与えるような、そんな真…

一作
2年前
4

ただ一人、生き残った男の日記

人間のいなくなった世界。夜は本当に真っ暗闇である。何一つ見えない。昨日は月も出ていなかっ…

一作
2年前
13

神々もなんだかんだで大変だ

キリストがこの現代世界に降臨してきて、まず始めに着手したいと思ったのは金儲けであった。彼…

一作
2年前
6

偏差値99の難問

問. 以下の手記を読んで、それに対するもっとも適切な答えをa~dから選びなさい。 相変わら…

一作
2年前
34

下肢の木

信じてはくれないだろうが、いや、信じてほしい。やはり信じてくれないか。だが信じられることによって始めて産声をあげるお話というものがあるのであり自分が今からする話はそのような幻燈のうちの一つである。 ある日、目が覚めると自分は一本の大きな樫の木になっていた。樫の木?まあ要するに俺が自分の身体を、鼠のにおいがするふかふかの羽毛布団の中に見出したのではなく、とある海辺の寂しい防風林の中に見出したことだけは確かである。自分に吸い付きながら自分は考えてみた。だが、特に何を考えたわけで

犯罪的人間

人間をつかまえたいんだ その子は言った。 JRの高架下、一糸まとわぬ姿で宝焼酎をラッパ飲み…

一作
2年前
14

神亡き時代の生き方のお話

「とにかくよ、身体が若くてぴちぴちしてるときに死にたいなんざ贅沢なんだよ」 居酒屋で隣の…

一作
2年前
12

人間の硝子

一枚硝子が冷たい外気と温かな部屋の空気との境界線を引いておる。外は寒い。風がぴゅうぴゅう…

一作
2年前
7

夢小説らしきもの

めくれあがってゆく感覚により目を覚ました。勤め人としての本能が蘇ったのは幸運であった。今…

一作
2年前
5

彼女にとって泣くのは最後の抵抗でありそして

余命5日ほどに迫ってきた理香子の胸は青黒く変色していた。彼女には生まれつき免疫異常の宿痾…

一作
2年前
4

セルフ・サービスの感動

その一瞬だけ妙に心に残っている情景。心の砂漠の中で、石ころのように無造作に置き去りにされ…

一作
2年前
5

THE CAPITAL

「孤独な人ほど一人で楽しむクセをつけている。孤独を楽しめるようになれたことは、一生の財産♡」っていうのはどうだろう?バズるかな? Twitterのホーム画面を見ながら彼女は列車の窓に目を移した。いつも通りの雑居ビル、いつも通りの信号機。スーツを着た人たちがアスファルトの道をカツカツ歩いている。 ここには人がたくさん住んでいる。人口密度も世界トップレベル。薄い壁一枚隔ててすぐ隣に自分の全く知らない人が住んでいるこの街では、孤独な人がたくさんいる。 どこへ行ってもビックリす