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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

方舟の感想

ネタバレしかないです。
何に関してもネタバレは基本的に嫌いなので、まっさらな状態でこの小説を読んでほしいと思います。

では、以下、感想です。






驚きのどんでん返し

まずはこの一言に尽きるんじゃないでしょうか。
私は基本的にトリックがあった際に何のために?誰が?とは頭の片隅では思うものの出来れば何も自分では推理せずに、著者が用意した物語を従順になぞるようにしています。
 この話では、登場人物が多く名前やキャラを覚えるのが大変かもなと思いながら読み始めたところ、さやかと舞が少し似たキャラではあったものの比較的頭の中でこの人はこういう人で、とイメージをしながら読み進める事が出来ました。
 その中で始まる犯行、進む犯行。
読みながら、「ええ~~・・・??誰もこんなことしそうにないし、動機が恨みだとあんまりおもしろくないよなあ・・・」と思いながら読み進める。
 途中途中、「もしかして、この中に昔のカルトの生き残りが居て、その教えに忠実な狂信者がいたとか・・・!?」なんて事を考えたりする。
 結論は「自分が生き残るため」。一番シンプルで、納得できる動機。
 そしてどんでん返しの内容も本当にシンプル。でも、気付かなかった。そこに結構感動した。何も難しい事はなく、犯人とその他で得られた情報が違っただけだったのか!と。ネタばらしをされてしまえば「ええ!そんな簡単な事だったの!?」となるけど、これ読んでいる途中に気づいた人ってどれくらいいるんですかね?
 個人的にはこういうトリックにはできるだけ驚かされたいので、気づいてしまう人は大変だな

共感する、””嫌””さ

まずね。
地下に閉じ込められるって、マジで嫌ですよね。
私なんか飛行機も嫌だし海も嫌。飛行機は、落ちたり何か少しでもトラブルがあれば間違いなく終わるし、海は自然の水の中に入るなんてリスクしかない。
そんな感じでたぶん普通の人よりはもっと嫌な事があるなかで、地下のよく分からない施設に行くなんて、私だったら死ぬ気で拒否るし絶対にムリ!wwwてまず思いました。
 本能的な拒否感というか。それに加えて水没、とか、オワてるw
そういう、読者の共感アンテナビンビンになるような不快で不快でたまらない状況を、本に登場するキャラクター(というよりは読者視点の主人公)とずっと共有するという体験も、良かったです。緊張感があるというか。

緊張感でいうと、実際その極限状態の中で意外にも時間を浪費する人たちというのも生々しくて良かった。
確かに、極限状態と言っても、何も解決策が浮かばない中で、自分は動けるのだろうか?と。正直、私なら溺れるくらいなら自殺してしまうかも。

エンディングのそのあと

あえて、その後を書かないスタイルの終わり方。
これがすごくよくて、読み終わった後の「はあ~~~~~~~」という余韻を長く味わえたなあと思います。
 「舞はこのあと脱出できたのか?地下3階はたぶん紙のおおざっぱな地図しかなかったけど、あの大地震でドアがゆがんだり、どこかが崩壊して封鎖されてしまっていて、結局脱出できなかったら、救われないなあ。」
とか、
「もし地下3階がそうやって崩壊していたとして、1人では無理でも、2人なら、つまり主人公と2人で地下3階へ行けていれば助かるような事になってしまっていたら、辛いなあ」
とか、
「ダイビングの道具って本当に使えたのかな?実はどこかが壊れていて、舞は岩を落とした後に地下3階に行く事も出来ず、元々そうみんなが思っていたように、小部屋で一番いやな死に方をしてしまう?」
とか、
「地下3階でなんとか進んでいる最中に、さやかの顔が偶然目の前に現れたら舞はどんなリアクションをするんだろうか」「もし、さやかの顔と、その他道具を落としてしまったせいで、先に進めないような事になってしまっていたら、どう思うんだろうか」
とか
「無事に非常口の通路に行けたとして、水ってどこまで登ってるんだろうか。もしかして蓋のとこまでいっぱいになってて、蓋まで行ったのに蓋が開かないとかになってたら最悪だな」
とか
「無事出られたとして、舞はちゃんと生還できるのだろうか」
とか・・・・・・・

考えられるだけでもこれくらいのいろんなパターンの展開を妄想していました。これがすごく楽しかったw

著者が見せてくれた話の続きを自分で描くではないけども、本を読んで終わりではなくて、その先を妄想して本を読んでいなくてもその本を楽しむ。電車に乗っている時とか、美容室に居るときとか、上記のような妄想をしていました笑
 舞にどんな結末を迎えてて欲しいかに、読者の人間性も出そうですよね。

この本はぜひ人に薦めたいし、舞にどんな結末を迎えてほしいか聞いてみたいなと思いました。私は助かって、舞なりの人生を歩んで欲しい派です。

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