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【ギター】真剣にやるのをやめたらとても楽しくなった

はじめまして。

これは私のnoteの初めての記事になります。

この記事で言いたいことは、けっこうしょうもないことではあるのですが、自分自身が身をもって実感したことなので、ちょっと書いてみたいと思います。

私は学生時代から、社会人になり始めの数年にかけて、わりと「真剣に」バンド活動をしていました。高校生の終わりころから、オリジナル曲を作るようになり、バンドでそれを演奏し、お客さんに聴いてもらう。初めのうちはその全ての過程が楽しく、少し空を見上げただけでもなんとなく感傷的な気分になって歌詞を書きたくなるような「創造的」な時期がありました。

あまりニュース番組を見るタイプでなかった私は、政治のことも経済の事もまるでピンきていなくて、大学の頃などは「何も考えずに流れで就職活動なんかする連中よりも、音楽というやりたいことが明確にある自分の方が遥かに自分の意思がある」と信じて疑わず、バンド活動を自分の生業にするつもりで学校を卒業しました。

卒業直後のバンドは、アルバイトをしながら何度もオーディションイベントに参加しましたがなかなか壁を越えられず、空中分解するように解散してしまいました。

このバンドが解散したタイミングで、私はとある会社で社員に登用され、日々激務をこなすようになりました。

仕事ばかりの生活に疑問を感じていたところ、学生時代の友人ともう一度真剣に活動するバンドを結成しました。

平日は朝から終電を超えることも珍しくない仕事をして、土曜は朝からリハーサル。場合によってはそのあとでライブ。日曜日もライブ。という生活になりました。

年齢的に若かったので、バンド活動が充実していたことでハードなスケジュールもわりと楽しんでいましたが、だんだんと、出演するライブハウスのレベルが上がってくるにつれて、ライブをやることに「義務感」が生じるようになってきました。

wantでやっていたことがmustかhave toになってしまったんです。

仕事も仕事で、決して嫌いではなく、やりがいをもって楽しんでやっていました。でも平日に仕事というmustがあり、休日はバンドというmustがあることで、私は疲れ切ってしまい、ある時完全に心が死んでしまいました。

振り返ってみると、大学を卒業してオーディションを受けているあたりから、自分自身が積極的に音楽を聴くことがなくなっていました。

どの曲を聴いても、「資料として聴いている」という感覚が抜けず、音作りや曲作りの参考にしているという感じで、その曲が持つ本来の魅力を純粋に味わうということができなくなっていました。

心が死んでから、再びギターを弾くことを楽しく感じるようになるまで、10年以上かかりました。音楽を聴くことを楽しむにも、同じくらいかかりました。

バンド活動を生業とするには、誰もがこのくらいの道のり、むしろこれよりももっともっと険しい道のりを超えていかねばならないのだと思いますが、私は一気に消耗してしまいました。バンド以外のこと(この場合は仕事)にも力を入れ過ぎてしまったことも一因だと思いますが、それにしても、私は「好きなことを仕事にする」ってことがどんなことなのか、その覚悟が全然できていなかったように思います。

最近は10年前とは音楽を楽しむ環境もすっかり変わって、ちょっとYouTubeで検索すれば、簡単にバッキングトラックが見つかり、デスクトップサイズの小さなアンプに接続すれば10年前の小型アンプでは考えられないような素晴らしい音でギターセッションを楽しむことができます。

そして、そういう環境は、改めて「生業」ではなく「趣味」としてギターを再開した私のスタンスにとてもしっくりくるものでした。

大きなアンプや大きなエフェクターボードを使わなくても、小さなアンプから出てくる自分の音を心から楽しんでいます。

音楽を「生業」と考えていたころには、作曲も力が入り過ぎていたように思います。いまは、趣味で俳句をひねる人がいるのと同じように、サクッと曲を作ることを楽しんでいます。iPhoneがあればレコーディングもできますし。

私の場合、10年間のブランクがあって改めてギター関連の情報に触れたので、機材や録音環境などが一新されていて、いちいち驚きます。たぶん、この10年間の進歩をリアルタイムで見続けてきた人よりも、大袈裟に感動できているような気がします。

「真剣にやるのやめたら楽しくなった」

要は趣味で楽しむ程度にしてやってみたら楽しくなった、って、それだけのことなんですが、なんとなく、書き残しておきたいな思い、記しました。

真剣にやり続けて、楽しみを失うことなくやれる人もいると思いますが、もし、「音楽」が「音が苦」になってしまっている人は、少し音楽と距離を置いて、また自然に音に触れたくなるまで、他のことでも考えながら過ごしてみるのもいいかもしれません。

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