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〝自宅付き賃貸アパート〟をタダで手に入れる

 ある程度の土地があるなら、自宅付きの賃貸アパートを検討するのも手だ。上手くやればローン返済額を家賃収入が上回るから、ある意味、自宅をタダで手に入れることができる。家賃収入が悪くても自宅だけを建て替えるより返済負担が減るから、友人に「お金の使い方が上手い」と言われるだろう。賃貸アパートは相続税にも有利と聞く。この際なので、アパート経営にくわしい旭化成ホームズ阪奈支店を訪ね、いろいろと疑問をぶつけてみた。

私の土地50坪でシミュレーション

 私には親から引き継いだ住宅がある。L字型の土地の一方に、築40年の鉄筋コンクリート3階建ての自宅が建っている。道路に面したスペースには、2台分を停められる駐車場として貸し出している。土地は50坪(約180平方㍍)ほどで、大阪市内ならまずまずの広さではないだろうか。この家を自宅付きの賃貸アパートに建て替えた場合、どうなるのだろうか。

 「賃貸アパートを検討するなら、大阪市内であれば30坪ぐらいからが目安でしょうか」。こう話すのは旭化成ホームズ阪奈支店の三谷尚徳さん。

 私の構想は、駐車場として貸し出しているスペースに、新たに賃貸アパートを建築することだ。三谷さんにそう説明すると、2棟別々に所有するとメンテナンス費用がそれぞれにかかり、管理も大変になることが判明。このため、古家を取り壊し、L字型の自宅併用賃貸住宅を建築するパターンで試算してもらった 。


 1階には2LDKを2戸、2階は1LDKを3戸、3階部分に4LDKの自宅を配置。建築費は1億3000万円で月々のローン返済は40万円。収支計画によると、満室時の家賃収入は53万円となり、ローンを返済しながらでも、月13万円の収入が得られることが分かった。


 なるほど、自宅を新築する資金が不要になり、さらに収入まで得られるというわけか。ただ、自分は空室リスクも怖いし、家賃滞納者が出たときの督促など面倒なことは苦手なので、一括借り上げの方が性に合いそうだ。

 その場合は、満室時の賃料(月53万円)から10%を引いた月48万円を旭化成が保証してくれる。そこからローンを返済しても月8万円は手元に残る計算だ。

 自宅がタダで手に入るようなものだし、加えて毎月の収入まで得られるなんて何だか夢のようだ。

資産価値の維持には、住宅性能が大事

 確かに机上の計算ではメリットばかりを感じる。こうなると心配性の私は「そんなうまい話はあるのか」と反対に思ってしまう。

 ほかにはリスクはないのかと聞いてみた。

 「まず2年ごとに家賃が見直されることを知っておく必要があります」と三谷さん。なぜなら、時間が経てば周辺には新しい物件も建ち、老朽化が進めば競争力の面で新築より不利になるからだ。

 家賃の下落を防ぐには、上質な建材で住宅性能を高めたり、過当競争に巻き込まれない希少性のある間取りがポイント。つまり、当初の収益計画からズレを無くすには机上の計算ばかりにとらわれず、しっかりと現実のニーズを捉えることが重要だ。

 「住宅性能がいかに大事かは、中古物件市場をご覧になるとわかります」と三谷さん。気付いたのは、築15年程度で売却している物件が意外に多いことだ。なぜ、15年程度で手離すのか。その理由は、利回りには表れない大きな経費、メンテナンス費が立て続けに発生する時期だからだ。

 例えば、屋根防水は一般に10~15年で補修時期が来る。雨漏りの約7割は、屋根ではなく壁から漏れており、補修カ所は極めて発見しにくい。RCコンクリートの場合は一度の補修で30~40万円がかかるうえ、一度漏れ始めると、連鎖的に続くケースも多いという。ほかにも外壁塗装や、受水槽を備えていれば何百万円の負担になることもある。

 三谷さんは「表面利回りを良く見せるために、建築コストを抑える業者が見受けられます。利回りばかりにとらわれず、売却時に他人が購入したいと思える耐久性の高い安全な物件を選ぶことが大切」と強調する。

 旭化成ホームズの主力商品「へーべルメゾン」も値は張るが、住宅性能の高さには定評がある。グループに建材メーカーを抱えるだけあって、床や外壁、天井のすべてに耐久性に優れた独自開発のヘーベル版(ALCコンクリート)を使っている。躯体には地震などで亀裂を生じて修繕費を発生させないように制震システムを装着するなど独自の建築ポリシーを持つ。

 その結果、外壁や屋根の防水をやりかえる最初のメンテナンス時期まで30年と長く、それまではメンテナンス費が1円もかからない設定になっている。躯体構造に至っては60年以上というから驚きだ。

過当競争に巻き込まれない

 「あと、一括借り上げにも注意が必要です」と三谷さん。入居者の退去時には室内クリーニングなどを理由に2カ月間はその部屋の家賃を支払わないなど、会社によってルールが異なるので要確認だ。旭化成の場合は10年に一度だけ1カ月分の免責期間があるものの、それ以外は入退去があっても途切れることなく賃料を支払ってくれる。

 賃貸オーナー側からすればありがたい話だが、なぜ、こんな大胆なことができるのか。

 「それを可能にしたのが、市場適合性を加味した旭化成の賃貸アパート設計なんです」(三谷さん)。簡単に説明すると、退去者が出てもすぐに入居が決まる需要のある物件であることが大きい。

 賃貸経営は一般的に、限られた建築面積にどれだけたくさんの部屋数を確保するかばかりに目が行きがちになる。しかし、机上の計算はうまくいっても、すでに飽和状態の地域にワンルームを建築すれば、競合だらけの市場に飛び込むことになる。過当競争にさらされれば当然、空室を埋めるために賃料が下落し、当初の収益計画通りにコトが進まなくなってしまう。

机上の利回りより、現実の市場ニーズに目を


 「例えば、1Kでも駅近でなければ厳しい時代ですが、1LDKでダブルベッドが置ける間取りにすれば、1人暮らしだけでなく、共働き夫婦も借り手の対象になる。その地域では希少な物件として稼働率は高まります。空室割合と間取りは影響し合うんです」と三谷さん。

 そのためにも、エリアに合わせた最適解で賃貸アパートを建築する市場調査が重要だ。同社が行う調査は一つの物件に対してペーパー資料で実に数十枚にも上る。その資料をちらっと拝見させてもらうと、近隣の賃貸需要、間取り別の供給戸数や空室率、家賃指数、将来推計などさまざまな視点から分析していることが分かる。

 「空室を出さない自信があるからこそ、入退去時の一時的な賃料負担を旭化成側で吸収し、その分をオーナー様に還元できる」と三谷さんは力を込める。

 実際に旭化成がこれまでに手掛けた賃貸アパート「へーベルメゾン」の2017年度の月平均入居率は97.4%と驚異的な数字を記録している。

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