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【BONUS TRACKインタビューvol.5】“発酵” をキーワードに、「食」の楽しみを広げていく。発酵デパートメント 長田さん

2020年4月にオープンした『BONUS TRACK』は、“あたらしい商店街” をテーマに、飲食店や本屋さん、ヴィンテージショップにレコード屋さんなど、さまざまなお店がつらなる複合型施設です。

ここでは、そんなBONUS TRACKに出店しているそれぞれのお店をインタビュー形式でご紹介。個性あふれるお店がずらりと並ぶBONUS TRACKの魅力を、ぜひお楽しみください。

「新たなことにチャレンジできるお店」として

ーーBONUS TRACKのテナントインタビューも、五弾目となりました。今回お話を聞くのは、「発酵デパートメント」の長田さん。柔らかな物腰と笑顔が素敵な方です。よろしくお願いします!

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長田さん:よろしくお願いします!

ーーまず、発酵デパートメントについてお聞きしたいです。どんなお店なのでしょうか?

長田さん:発酵デパートメントでは、“世界の発酵みんな集まれ!” を合言葉に、発酵調味料や全国のローカル発酵食品などを販売しています。美味しい発酵料理が食べられるカフェレストランや、学べるギャラリーコーナーなども併設しているので、ここに来ていただければ発酵について美味しく楽しく学ぶこともできます!

ーー“発酵” って、普段あまりなじみのない概念だと思うのですが、発酵デパートメントにはその道のプロの方が多くいるのでしょうか……?

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長田さん:代表の小倉ヒラクさんを中心に、発酵の知識豊富なスタッフはもちろん、農大生の子や、ご実家が味噌蔵の子など、色々なバックグラウンドを持ったスタッフがおります!

ーー長田さんも、発酵のプロフェッショナル……?

長田さん:私は、発酵についてはビギナーでまだまだ勉強中です……!これまではライブハウスで制作の仕事や、幼稚園教諭をしていました。

ーー異例の経歴ですね……! なぜ、発酵のお店で働こうと思ったのでしょうか?

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長田さん:代表のヒラクさんのTwitterで募集を見たのがきっかけです。ヒラクさんの物の見方や考え方に興味があって、新しくお店をはじめられるということで面白そうだなぁと思って応募しました。

ーー「面白そう」だけで、入社を決められたんですか!?

長田さん:きっかけはヒラクさんですが、「新しいことにチャレンジできる」お店であることや、自分の好きな「下北沢」という立地にあることにも魅力を感じていました。新旧いろんなカルチャーが入り混じるこの下北沢という地で、”発酵”という食にまつわるローカルカルチャーがどんな風に浸透していくのかが楽しみですね。

“発酵について知らなくても、きっと楽しんでもらえる”

ーー先ほど「私は、発酵についてはビギナー」と言っていましたが、なぜその上で発酵デパートメントのスタッフとして働いているのでしょうか?

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長田さん:先ほどの話でもあったように、私は “発酵” についての知識はあまり持っていません。正直、知らないことの方が多いんです。でも、それもひとつの強みなんじゃないかと思っていて。

ーー強み、ですか……?

長田さん:発酵と聞くと、体に良さそうなイメージはあるけれどよくわからない……という方も多いかと思うのですが、日常で口にするものの中にも発酵は沢山潜んでいるんです。
私自身が「よくわからない」から始まり、面白さに触れている最中なので、一緒に学んだり面白さを共有したりしながら、お客様と同じ目線で発酵食品に親しんでいけたら良いなと思っています。

ーーお客さまと一緒に成長していく。すごく良いですね!長田さん個人として、発酵デパートメントで働くことで起こった変化はありますか?

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長田さん:もともとはあまり料理をしないタイプだったのですが、ここで働き始めてから自炊を楽しめるようになりました!
コロナの影響で外食できないこともあり、自炊が必要だったので、ヒラクさんのおすすめでまず家の醤油を変えてみたんです。そうしたら、なんだかこれまでよりも美味しく作れたような気がして……!醤油に続き味噌、みりん、酢、と調味料を変えていったら何を作っても味がきまるようになりました。

米麹と塩を混ぜた「さごはち」という漬物のもとを使って、簡単に美味しい一品が作れたことも大きな体験でしたね。
調味料や発酵の力で、こんなにも簡単に美味しく作ることができる。それを体感してからは自炊が楽しくなりました。


ーー自炊って、確かにちょっと大変なイメージがありますよね。そういった気持ちをお客さまにも感じてもらいたい、ということなのでしょうか?

長田さん:そうですね。発酵食品について知らなくても、発酵デパートメントはきっと楽しんでもらえると思います。

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長田さん:「食」はみんなに共通すること。そのなかでも発酵食品は、みなさんの “新たな引き出し” を開けてくれると思います。
はじめて知る味覚や、調味料を変えると普段のお料理がグレードアップすること、面白くて不思議な地方のディープ発酵物、などなど……。発酵食品を知らない方にこそ、楽しんでいただけることが沢山あると思います。


やりながら考えることの楽しさが、発酵デパートメントにはあった

ーーお店がオープンしてから、3ヶ月が経ちました(2020年7月現在)。大変なことはありましたか?

長田さん:当初は、ヒラクさんを中心に、発酵好きな方が集まる場になることを想定していました。しかし、新型コロナウイルスの流行により外出自粛を余儀なくされ、遠方からのお客さまがお店に来られない、という事態が発生して。正直、大変なことは多かったです。

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長田さん:そんなイレギュラーな状況下ではありましたが、だからこそ、「やりながら考える」ことができました。4月の2週目にはECサイトを通じてサブスクリプション(定期便)サービスを立ち上げたり、商品を紹介する発酵ショッピングチャンネルの配信をしてみたり、「その時だからこそできること」を考えて実行してきました。

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長田さん:「山賊の宴ディナーコース」もそのうちのひとつです。緊急事態宣言が解除されたとは言え、外食がしにくい状況の中、発酵食品を使ったお料理を安心してお客さまに楽しんでいただきたいという思いで予約制コースのご提供を開始しました。たくさんのご予約をいただき、その圧倒的なボリュームと味覚体験にご好評いただいております!

ーーこういったイベントは、スタッフのみなさん全員で考えているのでしょうか?

長田さん:代表のヒラクさんが発起人となって動くことが多いのですが、スタッフが考えたアイディアを採用することも多いです。商品の陳列や、企画コーナーの展開、ECサイトのセット組や角打ちイベントなど。 
まずはアイディアを実行してみて、お客様の反応を見ながらより喜んでいただく方法を考え再度トライする。恐れずに挑戦していくこと、お客さまの目線になって企画を考えることを大切にしています。
たとえば、「発酵サブスク」もそのうちのひとつです。

長田さん:発酵サブスクは、毎月3,000円の定額制で月ごとに発酵調味料のセットをお届けするというサービスです。4月の第2週に始まり、約200人の方にご利用いただいていましたが、6月をもって「一旦解散」となりました。

ーー解散……? どういうことでしょうか……?

長田さん:ありがたいことに、コロナ禍にオープンした発酵デパートメントを応援する気持ちでお申し込みいただいた方も多かったように感じております。
そんな皆様のお陰で、なんとか4月の苦境は乗り切りましたが、わたしたちはもっと自力をつけて「求められるお店」にならなくてはいけない。
そこで一度、「自動解約」にさせていただきました。その上で、本当に発酵サブスクを求めてくださっているお客さまにのみ、再度お申し込みをいただくことにしました。

ーーすごい……。それが、「お客さまの目線に立つ」ということなのでしょうか?

長田さん:システムを変更するタイミングだったこともありますが、「お客様に求められるものを作りたい」「本当に求められるものをご提供できるよう、自分たちなりに力を付けていかなければならない」という気持ちが強かったですね。

「売るだけ」にとどまらず、その背景を伝えて「食」を拡張すること

ーーでは最後に、これからの発酵デパートメントが目指していきたい姿を教えてください。

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長田さん:気軽に立ち寄れて、食体験やお買い物をたっぷり楽しんでいただける場所にしていきたいですね。その上で、発酵というカルチャーの面白さを知っていただくきっかけになれたらと思います。

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長田さん:また、美味しくて面白い発酵物を作っている「生産者」の方々についても知ってもらいたいという気持ちもあります。わたしたちのお店で取り扱う商品は、その作り方や思いに共感し、作り手の方のお顔が浮かぶものばかりです。
商品の背景をお客さまにお伝えすることで、味覚とともに知の体験も楽しんでいただけたらと思っています。みなさまの食体験や日常の楽しみを、少しでも広げて行けたら嬉しいです!



今回のインタビューはyoutubeで公開配信をしたものの一部を抜粋しています。全体のお話については下記のyoutubeよりご覧いただけます。
https://youtu.be/JdPOQlTfBu8
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取材・撮影/平井 萌 文/三浦 希




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