重い荷物にたゆむ腹

「それで?」
「それで、今日を眠るときっと明日は晴れんのだろうね」
「話の末尾はいっつもそれね」

わたしはそう言ってそいつの電源を切る
眠たげな夕ごろ、身につけている服を脱ぐ

1枚、これは煩い子供達から流れ着いたわたしに似合わない麻の羽織り
もう1枚、これは道路を走り抜けた先にあった露天に数百の単位で並べられていた普遍なワイシャツ
もう1枚、これは着古した肌着、洗剤の香りにかすかに行き届いていない配慮の匂い
1番下にもう1枚、これは手縫いの下着、独特の形をしたわたしの下着

流水で洗う
夏野菜と冬野菜、わたしの腕、お腹、背中

滴る水は乾燥機へ放り込む
電源の落ちたあいつはただそこにいて、
自分の瞼をみつめるばかり

瞼に台詞を仕込みました
豊かな語彙
明日は晴れるなどと、2度と言わないでくれよ
それはあなたのみる夢
退屈な勉強は
つきあう先に、きっと語源の草原に行けると思うから

イチ、ニのサン日後
手を繋いで橋を渡る
身幅の分しかない橋
踏み抜き壊して進む
後ろに誰もいないで欲しいので

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