見出し画像

ルーツ・オブ・自分-ポール・ウェラー

中学生の頃、パンクという音楽に関心を持った。

それまでは、親戚のお兄ちゃんの影響でYMOやRCサクセション、カシオペアなんかを聞いていたが、自分の意志で初めて興味を持った音楽がパンクだった。確か、当時のFMか何かでパンク特集的なものを聞いて興味を持ったと記憶している。

パンクは1970年代中盤から後半に、主にイギリスを中心に起こった社会に対する反抗というムーブメントから生まれた音楽である。
つまり、私が聞き始めた時点でパンクはすでに過去のものになっていたが、元々流行に興味のない私にはそんなことどうでも良いくらい衝撃を受けたのを覚えている。
とはいえ、私は特に社会に不満があるわけでもない。ただ、のほほんと毎日を楽しく暮らすことだけを第一に考える平和的な中学生であったので、社会への不満や反抗したいという気持ちは微塵もなく、単純に音やファッションに関心を持った。
その上、洋楽でも邦楽でも私は基本的に歌詞を聞いていない。どれほどメッセージ性が強い歌詞であったとしても、私にとって歌は楽器の音と同化して耳に入るタイプなので思想に影響されるということもないのだ。
パンクをただのほほんと聞く中学生だ。

同級生たちは歌番組などに出る歌手が好きであったから、同級生たちと音楽の話はまったく合わなかったし、彼らの聞く音を迎合する気もなかった。
気ままでこだわりの強いB型である。
強いて言えばこの性格がパンクの反骨精神と似通っていると言えなくもないが、思い付きのただのこじつけである。

パンクというと、一般的に髪の毛を立て、穴の開いたジーンズなどを履いているという印象、音はガチャガチャした激しい音楽というイメージがあるかもしれないが、パンクは当時の若者たちが枠にはまらない音楽を目指して始めた音楽なので、バンドごとにカラーは結構違っている。
パンクとカテゴライズされる色々なバンドの中で、The Jamというバンドが音的にもファッション的にも特に好きだった。

写真や映像で見るThe Jamは、Modsにルーツを持つスタイルなのでメンバー全員が黒い細身のスーツを身にまとい、特にボーカル・ギターのポール・ウェラーがリッケンバッカーをかき鳴らしながら歌う姿はとにかく格好良かった。

The Jam時代

彼にあこがれてRay-BanのOlympian Ⅱ DXというモデルのサングラスを高校生の頃から今まで(もちろん数回買い替えてはいるが)使っている。ただ、これだけ情報があふれたネットを調べても彼がこのモデルのサングラスを使っていたという記述はない。
私は当時、彼の写真を持って音楽やファッションに詳しい先輩たちに聞きまくっておそらくこれだろうという結論に至り、それを今も信じてこのサングラスを愛用している。下の写真を比較して見るとこのモデルをかけているようにも見えるし、ブリッジの部分が違うような、レンズの縁もないように見えたりもするが、残りの人生もこのモデルが彼と同じものだと信じて力強く生きていこうと思う。

憧れのサングラス
Ray-BanのOlympian Ⅱ DX

さらに、憧れすぎたのでホワイトのデニムジャケット、ホワイトジーンズ、足元はタッセルローファーで完全にコピーしていたこともある。街を歩いているときの自分の脳内は下の写真のようなかっこいい自分だ。ほかの人の目にはコック見習いのように見えたかもしれないが、和製ポール・ウェラーがそこにはいたのだ。(白目)

白づくめでかっこいいとか王子か
私が着るとこうだ

彼は、The Jam解散後にStyle Councilというユニットを立ち上げていた。
パンクとは違いジャズやブルーアイドソウルなどをベースにした音で、中学生の私にはとてもおしゃれに感じられる音だった。
それにファッションもパンク時代のものより洗練されていておしゃれだった。
下の写真のようにステンカラーコートをこんなにかっこよく着こなせるポール・ウェラーに憧れて、似たようなコートを買って襟の後ろを立ててみたりもしたが同じようにならなかった。
どう頑張ってみても、先生に怒られて首根っこつかまれたかっぽう着を着た給食当番の中学生かうだつの上がらないサラリーマンである。それでも、私は頑張って彼に近づこうとした。

Style Council
私が着るとこうだ(2回目)

当然、ぱっとしない垢ぬけない男子がこんなかっこいい感じになれるはずもないのだが、誰かにあこがれて近づこうとするこの過程は誰もが一度は通る道であろうと思う。
彼になることは途中であきらめつつも、イギリス系の音楽、イギリス系のファッションスタイルへ、イギリス文化への強いあこがれが今も根強く残っているのはこの時の彼へのあこがれが大きく影響している。
ちなみに、最初に買った車はミニだ。あの小さいながらも、そのスペースを最大限に活かすために機能的に設計されたあのイギリスの名車である。知らない人でもミスタービーンが乗っている車と言えばわかるだろうか。
そんな感じで中学生から今に至るまで、私の音楽的嗜好、ファッション、持ち物へのこだわりなど彼から受けた影響は非常に大きい。

ちなみに、この記事は本来別のことを書く予定でいたのに、あふれるポール・ウェラー愛で埋め尽くされてしまった。
5000字ほどあった分量から、大量のエピソードを削りに削ってこの量(2000字強)である。なので、ポール・ウェラーに関してはいったんここまでで一区切りとして、この記事の続きとして本来書こうとしていた内容を次回書いてみようと思う。

サポートしていただけたらその資金を元に記事になりそうな場所に行ったり、物を購入したりという事に使用して記事にフィードバックする事を誓うのでお願いします٩(◜ᴗ◝ )۶