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漫才のニンの話。

漫才における人(ニン)。ニンが出ているとか、ニンが乗ってていいとか、そんな風によく使います。芸人になる前からこの言葉を知っていたかはちょっと忘れましたが、NSCに入ってからめちゃくちゃ聞いた言葉です。
ネタを作る上でニンはめちゃくちゃ大事です。僕はコントのことはよくわかりませんが、漫才でもコントでもピンネタでも絶対に大事。まずニンを正しく理解していないと面白いネタは作れません。
ではニンとは何なのか?基本的にはその人の人間性とか、持って生まれたキャラクターみたいなものをニンと言います。ブラマヨさんとかが、わかりやすく2人のニンが出ている良い例です。
ただこのニンについて、間違った解釈をしやすい例があります。僕もこれに気づくのに何年かかかりました。それは、ニン=本当の性格 ではないということです。
これは僕の持論なので絶対にそうとは言い切れませんが、少なくとも僕はそう思っています。ニン=その人の人間性やキャラクターなのですが、あくまでこれはぱっと見の人間性やキャラクターであって、見た目明るそうなやつが本当は家では暗いからといって暗いキャラのネタをやると上手くいかない。といったことがよくあります。
僕の相方のほしあられが良い例です。本当は家でずっとテレビを観ていたい大人しい人間です。でも見た目からしてそうは見えません。彼のニンは明るくてキモいやつです。逆に僕も、本当はアウトドアで明るい一面もありますし、普段ボケたりもしますが、ニンはしっかり者です。ニンには逆らえません。そして逆らうべきでもありません。ボケに憧れたこともありましたが辞めました。大声を張り上げるツッコミに憧れたこともありました。でもやってみて似合わないので辞めました。要は見た目に合ったことをする、自分の得意なゾーンで勝負するというのがニンに順ずるという事なのです。
よくネタ合わせ場所で後輩とかNSC生がネタをしているのを観てもよく思うのは、自分たちがどういう喋り方をしたら面白く見えるのか?をまずは見つけないといけないのだなと。まずは憧れとか誰かの真似から始まって、それを映像で見たり、お客さんの反応を肌で感じて、自分はこういう事をしたらダメなんだなとか、こういう言い方がウケるのか?など、少しずつ見つけていくものです。そう思うと僕らも全然出来ていなかったし、最近になってようやくそんなことが少しずつわかってきました。
ニン=本当性格ではなく、ニン=見た目。ただ、本当の自分に嘘をつき過ぎててもしんどいので、そこは良い塩梅を探さないといけないことになります。そのちょうど無理なく、見た目に合っている、周りが違和感をもたない雰囲気、それを見つけた時ネタがウケやすくなる気がします。
今回はNSCの講師のようなお話でした。M-1で決勝とかいったら、将来NSCで雇ってください。

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