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トンネルの掘りかたへの素朴な疑問

 トンネルを通ったり見たりするたびに、飽きもせず思うことがある。
 「トンネルを掘るときは、入り口側と出口側の両方から掘り進めると聞いたことがある(あえて確認しないまま書いています)けど、よく途中でぴったりと出合うものだ」と。
 たしかに、測量や計算を間違ったまま掘り進み、最後まで出合わずに並行して2本のトンネルができてしまったなんていう話は聞いたことがない。

「監督、何を間違ったか、結局出合わなくて2本できちゃいましたね」
「まいったなあ。いまから1本埋め戻すか」

 駅ビルや空港ターミナルビルなどの巨大建築物でも似たような疑問をいだく。近郊で巨大な工事が始まり、重機が造成している。一部では何かの杭を打ち込んだりしているが、ここに巨大なビルが建てられて、だいぶできてから「あ、エスカレーターが入らないや」とか、「この階、ドアの位置が全部ずれてるぞ」なんていうことにならないのかなあ、などと考えたりする。

 現実にはそんな心配は無用なのだが、どうでもいいことを大まじめに考えてしまう凡脳の持ち主は、しばしばそんなことに思いをめぐらせてしまうのだ。
 たまには友人知人にそんな話題を持ち出すが、だいたい呆れるか感心するか半々というところだ。

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 脱稿してから調べてみた。
 短いトンネルの場合は片側から掘り進める「片側掘削」を行うこともあるが、通常単にトンネルと称される山岳トンネルの場合は、入り口と出口の両側から掘り進む「対向掘削」(「ツーフェイス掘削」とも)という方法を採用するのが一般的だそうで、地山の安定性を保ったり工期を短くしたりすることができるうえ、安全かつ効率的に掘削できるのだという。

 ただし、両側から掘り進めるとやはり「出合う」(貫通部というらしい)ことになり、両側から掘削された部分をつなぎ合わせる作業が必要になる。したがって、うまく合致するよう慎重に測量する必要があるのだという。
 おお、私の心配もまんざらばかげたことではなかった。

 ついでに、道路トンネルの「入り口」と「出口」は、道路法による路線の起終点と同様に取り扱い、起点に近い方を入り口、終点に近い方を出口とするのだとのこと。
 とりあえずめでたしめでたし。

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