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無換水で水草水槽を維持できない本当の理由とは?

◆はじめに

お世話になってます、ぼのぼのです。

今回は「無換水ダメゼッタイ」キャンペーンと称して、なぜ換水作業が水槽管理に必須…、とされているのかを深堀していきます。

最終更新から日が空いてしまい、申し訳ありません。。。
またその間も、既存記事が多くの方にご閲覧いただけたことを、嬉しく思います。

謝辞

A.換水作業が必要な理由(定論編)

先ずなぜ水槽管理において、換水作業が必須とされているのかについて、一般的によく挙げられる理由を2点、下記に記載いたします。

  1. 濾過装置で除去(無毒化)できない「硝酸塩」を、換水により物理的に排出(希釈)するため

  2. 過剰な栄養成分を換水により物理的に排出し、水槽内の栄養バランスを整えるため

一方私は、上記2点の理由について、アクアを始めた当初から疑問や不完全さを感じておりました。

そこで、以降の記載文では、換水が必要な理由をより精緻かつ詳細にご説明することで、無換水が実現できない理由を分かりやすく説明してまいります。

B.定論への個人的な考え

  1. 「濾過装置で除去できない硝酸塩を、物理的に排出するために換水が必要だ」という定論への個人的な見解・・・その①

    1. 硝酸塩の無毒化(窒素ガスへの還元)は、濾過装置で行えない・・・×

    2. 硝酸塩の無毒化(窒素ガスへの還元)は、特殊な濾材を用いれば、濾過装置内でも行える・・・○

↓図1:濾材変更により硝酸塩の除去が可能か検証時の一覧表(※結果、濾過槽内で問題なく硝酸塩を除去することが出来た。)

※水槽A,B,Dは硝酸塩の除去が可能な「特殊濾材」
水槽Cは硝酸塩が除去出来ない「一般濾材」
  1. 「濾過装置で除去できない硝酸塩を、物理的に排出するために換水が必要だ」という定論への個人的な見解・・・その②

    1. 換水により硝酸塩を、物理的に排出(希釈)できる・・・×

    2. 蓄積(産出)され続ける「硝酸塩」の希釈を繰り返しても、硝酸塩の絶対量は増加していく・・・○

  1. 「過剰な栄養成分を換水により物理的に排出し、水槽内の栄養バランスを整えるために換水が必要だ」という定論への個人的な見解・・・その③

    1. 換水(排水)により、水槽水の栄養バランスを整えることができる・・・×

    2. 換水(排水)により、水素水の栄養濃度は低下するが、栄養成分比(栄養バランス)は変化しない・・・○

C.それならば、換水作業は必要ないのでは?

さて、ここまでの記事内容を受けて、読者様の中には下記疑問が生まれた方も多いのではないでしょうか?

…ん?、硝酸塩を無毒化可能で、排水しても栄養成分比が変わらないなら、「無換水」での管理いけるやん!!!

そうなのです。換水が必要な理由として述べられることの多い、上記2点の内容は、よく考えてみると矛盾点や不可解な点が多く、個人的にも納得し辛いと考えています。

※「硝酸塩」を除去した場合、有害物質が水槽内に残存しないことは、無機化学&生物の教科書内容で説明が付きますし、水槽水組成を排水で変化させられるというロジックは、算数の世界ですら破綻しています。

つまり、換水は必要ありません!!
、、、とはならないのが今回の記事内容になります。

D.でも、換水すると水草の調子が良いんだけど…?

前段内容より、少なくとも定論理由による換水が不要なことは、ご理解いただけたかと思います。

一方で、アクア歴の長い方の中には、下記のような意見をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

①高頻度で換水すると水草の調子がいい、、、という経験値がある。
②換水直後は水草の光合成が旺盛になるので、換水は重要だと考えている。

仰る通り上記2点は、換水におけるメリットの最たるものですし、私も重要だと考えています。
また、上記2点の事実と、前段でご説明した内容は矛盾しません。(理由は後述します)

E.換水すると水草の調子が良くなる本当の理由とは?

結論からお伝えすると、換水により水槽内の水草の調子が良くなるのは、
排水時に「アレロケミカル物質」を一緒に除去出来ているからだと考えられます。

Aという植物が、A以外の植物の生理に影響(栄養吸収や生長の阻害等)を及ぼすために産生する物質の総称。
また、その効果が及んでいる状態を「アレロパシー」と呼ぶ。

アレロケミカル物質とは?

アレロケミカル物質」は、植物が他種との生存競争に打ち勝つための一つの方法として産生する物質で、最近では自己阻害により、個体群の密度調整にも寄与していると考えられています。

多様な水草が植栽されることの多い、昨今の水草水槽内では、用いられた水草がそれぞれアレロケミカル物質を産生し、お互いの生長を牽制しあっている状態(アレロパシー)だと考えられます。

また、アレロケミカル物質は、単体で存在するより、複数種で存在した場合の方が、より強固に植物の生長を阻害すること(相乗効果)が知られています。

つまり、水槽内の水草は、互いに全力で足を引っ張りあっている状態なのです(笑)

ですので、定期的な換水を行うことは、アレロケミカル物質の希釈&相乗効果の緩和につながりますし、換水は水草水槽を状態良く維持するためにやはり必須で、無くすことの出来ない重要な作業なのです。

F.アレロケミカル物質の除去は、長期維持を目指すうえで最大の関門です…

閉鎖空間かつ、自然環境では考えられない多種多様な水草が同居する水槽内では、様々なアレロケミカル物質が絶えず産生され続け、その相乗効果により強固なアレオパシーが形成されます。

そのため、換水作業による希釈が重要なのは勿論のこと、長期維持を目指す際は、低床に手を入れられること(低床を砂利や砂で管理すること)は、とても大切な要素です。

土壌内のアレオパシーを軽減する際、腐食物質を低床内に埋め込む方法が効果的であり、砂利や砂であれば後から手を入れることが出来るため、管理が容易です。

G.まとめ

  1. 換水は、アレロケミカル物質を希釈し、相乗効果を緩和するために重要であり、必要不可欠な作業である

  2. 低床内に手を入れやすい砂利や砂は、長期維持を目指す上でトラブルの予防&対処が容易であるため、管理者の大きな助けになる

◆おわりに

今回の記事では換水作業が必須であることについて、自分なりの意見をお伝えさせていただきました。

かなりの長文で、解りづらい箇所も多々あったかと存じますが、皆様のアクアライフの一助になれば幸いです。

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