見出し画像

RGB LEDライトで水草育成が難しい理由

◆はじめに

お世話になってます。
最近、光学研究をしていた友人に、話を聞く機会に恵まれた、ぼのぼのです。

今回は、その時に聞いた内容を中心に、昨今トレンドのRGB LEDライトが、実は水草育成にそれほど適していない理由について、解説させて頂こうと思います。

↓ご興味ある方は、是非お読み下さい。

◆流行るRGBライトと、廃れないメタルハライドランプ

皆さんは、これから水草水槽を立ち上げる場合、どのような照明を選択されるでしょうか?

殆どの方がLEDライト。またその中でも、予算に余裕のある方は、RGB LEDライトを水槽照明として採用されるはずです。

LEDライト(RGB含む)は、それまで水草水槽用照明として用いられていた、蛍光灯やメタルハライドランプと比較して、下記の優位性があり、現在では広く普及しました。

  1. 消費電力が小さい

  2. 発熱量が少ない

  3. 長寿命

しかしながら、LEDライトが「それまでの水草水槽用照明を全て、置き換えてしまうほど優秀だったか?」、と聞かれれば答えはNOです。

現に、水草に強いお店や、ベテランアクアリストの中には、未だにメタルハライドランプを愛用されている方も多いです。

今回は、光源毎の特性から、水草育成に本当に望ましい照明を探っていきたいと思います。

◆RGBライトとメタルハライドランプの発光原理の違い

初めに、水草水槽用照明として、現役である両者の発光原理の違いを、詳しく見ていきます。

先ず、我々人間が、光源(照明)として用いているモノの発光原理は、下記の通り大きく2つに分類することができます。

①物体そのものが発熱し、発光する光源

  1. ハロゲンランプ

  2. メタルハライドランプ

  3. 太陽など

②化合物に電気を流すことで発光する光源

  1. LEDライト(RGB含む)

ご存知の通り、自然界で植物は、光合成に「太陽光」を利用しており、かつて主流だった「メタルハライドランプ」と比較して、「LEDライト」は発光原理が大きく異なることになります。

また、こうした原理をご存知なくても、実体験で違いを感じた、ベテランアクアリストの方も多いのではないでしょうか?

↓例えば、過去に水草水槽照明として、メタルハライドランプを使用し、その後RGB LEDライトに変更した際、下記の状況に悩んだことはありませんか?

  1. RGB LEDライトに変更後、水草の生長が鈍くなった

  2. RGB LEDライトに変更後、水草の草姿が変化した

  3. RGB LEDライトに変更後、コケの発生に悩ませれた

  4. RGB LEDライト下で視た水草の、発色が不自然に感じた

結論から申し上げれば、これらの不都合な状況は全て、RGB LEDライトとその他光源の発光原理の違いに寄るものです。

◆発光原理の違いによる、分光光度の比較

では水草を育成する上で、異なる発光原理の光源を用いることにより、発生する違いとその影響とは何なのでしょうか?

例えば、アクアリウムでこれまで用いられてきた代表的な照明。メタルハライドランプ(以下、メタハラ)とRGBライトを比較してみましょう。

先ず、最も顕著な違いがあるのは、それぞれの分光光度です。
画像の通り、メタハラとRGBライトでは、含まれる波長とその量に大きな違いが存在します。

↑【画像①】メタハラとRGBライトの分光光度の比較表
↑【画像②】RGBライトが優っている波長は赤色のみ

昨今、RGBライトを水槽用照明として用いた際の利点として、「赤い水草が鮮やかに発色する」という説明を良く目にします。

しかし、上記のような説明はやや不親切で、誤解を生みやすい表現だと、私は考えています。

実際は、赤の波長が既存の照明より強いために、「RGBライト照射下で、限定的に赤色の彩度が高く感じられる」、、、という現象であり、実際に水草の葉色がより赤くなっているわけではないからです。

◆大気中と水中環境における、光合成の違い

長年の研究により、植物が光合成をし生長する上で重要な波長は、「青色(350nm-450nm)と赤色(600nm-700nm)の波長である」と結論づけられています。

しかしながら、上記の研究結果には、下記の通り、幾つかの注釈が付くことを忘れてはいけません。

  1. 研究に用いられた植物の殆どは、大気中に葉を展開する陸上植物である。

  2. 大気中では赤い波長が最も良く透過するが、水中では透過率が最も低くなる

  3. 光の透過率は、水深20cm程度でも50%近く減衰してしまう

  4. 光合成に重要だとされている波長は、あくまで葉緑素(クロロフィル)の吸収率から導き出した数値であり、葉という構造体全体における吸収率とは異なる

つまり、陸上植物の研究により導き出された「光合成メカニズム」を、水草育成にそのまま適用するのは、些か乱暴ですし無理がある、、、というのが私の見解です。

◆水中環境における理想的な分光光度・分光特性とは?

結論から申し上げると、水中環境における水草育成に理想的な光源は、↓図のような分光光度を持つものです。

↑【画像③】水草育成に理想的だと思われる分高高度(青線)

水草育成に理想的、、、とした理由は、下記の通りです。

  1. 「赤い波長」を強くする事で、水中での透過率の低さを補填する。

  2. 「緑の波長」は、明るい環境下で葉の中まで入り込み、高い効率で光合成に利用されるため、水中での透過率の低さを補填した強さで照射する。

  3. 「青い波長」は、水中で透過率が高く、藻類を刺激するため、相対的に見て弱い光になるよう照射する。

◆鑑賞性と水草育成の両立

前項でお伝えさせていただいた、水草育成に最適な分光特性の光源を採用した場合、一つの大きな問題が発生します。

それは、水景全体が橙〜黄色に着色され、鑑賞性が皆無になってしまうという事です。そのため、アクアリウムで採用することは現実的ではありません。

では、肉眼で見た時に「昼白色」に近く、赤から緑までの波長をブロード(幅広く)で含み、青い波長が抑えられた光源は存在しないのでしょうか...?

◆アクアリウムで用いやすい水草育成ライトとは?

勘のいい方はお気づきかも知れませんが、下記光源は身近に存在します。

肉眼で見た時に「昼白色」に近く、赤から緑までの波長をブロード(幅広く)で含み、青い波長が抑えられた光源は存在しないのでしょうか...?

鑑賞性と水草育成を両立した光源

それは、「太陽光線」です。

なんだか、振り出しに戻った感じですが、要は太陽光に近い特性を持つ光源を、アクアリムに用いると、鑑賞性と水草育成を両立した、環境を両立出来るという話です。

昨今では、「AMATERAS」に代表される、太陽光線に近いライトが多く発売されているため、こちらをアクアリムに用いれば、照明周りで悩むことはほぼなくなるでしょう。

しかしながら、「AMATERAS」は既存水槽用照明と比較して高価であるため、より安価で採用しやすい同等品を次項で紹介いたします。

◆おすすめの照明

下記は「AMATERAS」より安価にも関わらず、スペックが同等以上の商品であるため、おすすめです。
 ※60cm水槽であれば、2〜3灯で十分です。

↑日本製の照明
↑中華製の照明

また、天井からの吊り下げに便利な商品も併せて、紹介させていただきます。
 ※ネジ穴を空ける必要がないため、賃貸物件でもご利用いただけます。

↑天井吊り下げ用フック
↑電源ケーブル&ソケット

◆おわりに

長文記事に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

今回は、アクアリウムに転用しやすい照明と、その理由について、水草育成と感傷性の観点からご紹介させていただきました。

この記事の内容が、皆さんの水槽管理の一助になれば嬉しく思います。
それでは、引き続き良きアクアライフを〜!!

YouTube
Twitter
Store


ここから先は

0字

この記事は現在販売されていません

いただいたサポートは、記事追加のための実験&商品の効果検証費用として、使わせていただきます。