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値札をつけれないようなものばかり。

数年前にリサイクルショップで500円で買ったアウターを冬になるとずっと着ている。

軽くて暖かくて自分の上半身にサイズがぴったりなので実のところ気に入っている。

正に愛着が湧くとはこういうことである。

毎年、当然ながらシーズン中はほぼ毎日出かける際は来ているので袖の裏を筆頭に黒みがかった汚れが各所に点在してくる。これはナイロン製のアウターの宿命である訳だが、汚れに対して繊細じゃないタイプの人が見て、この人、汚いアウターを着ているな と思われるかもしれないラインに達していると自分の基準で判断した際は、クリーニングに出している。

初めてクリーニングに出した際、黒みが思っていたより除れてなくてがっかりした事を教訓に、ウエット処理というオプションをつけてみたら予想以上の美しさで戻って来たので、それ以来もっぱらウエット処理の虜になっており、もはやウエット処理を堪能したいが為に汚していると言っても過言ではない域まできており、今年もそろそろウエット処理の季節到来かなと思っていた。

そんな思いを秘め始めた矢先、駅のトイレの個室で催しものを済ませ立ち上がった際にトイレットペーパーフォルダーの角にひっかけ肩下の部分が破れてしまった。呆然と立ち尽くしたのも束の間、発車寸前の電車に滑り込み、あらゆる箇所に見受けられるほつれや昨年末から付着させた汚れとローラさんが前面押し出されたメンズエステの広告を眺めながら、今シーズンでこいつともお別れかなと、一度は別れを覚悟した。

しかしながらウエット処理の感動を捨てきれない自分は駄目元で
妻のトキロックに縫う、もしくはアップリケを付けることでなんとかウエット処理まで漕ぎ着けれないものかと相談したところ、二つ返事で承諾してもらえた。
実のところ妻も隠れウエット処理中毒であったのだ。

数日後、妻の手腕で見事に縫い付けられほどなくしてクリーニング店に
持ち込まれたことは言うまでもない。

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妻曰く
受付のおばさんに「これ、デラックス何とかにしないととれないかもよ〜。
それやるくらいなら新しいの買った方が良いんじゃないですか。デラックス何とかは高級なスーツとかでやるやつだからねえ。」と言われたらしい。暗にこんなぼろぼろの安物、クリーニング代の方が高くついちゃうよというおばちゃんの親切心だったのだろう。

そこを妻は食い下がらず、以前ここでウエット処理してもらって綺麗になったのでと押し切って帰ってきてくれた。

そして数日後、昨年と寸分変わる事なく感動的に綺麗になって戻ってきた。

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そして今回のクリーニングで私の知らない新事実が2つ顔を出した。
このアウターにはパッと見た感じタグがなかった。よって素材表示がなく自分はとても暖かいのでてっきり羽毛が入っていると思っていた。
がポリエステル100%であったことが判明した。

どこにタグがあったかというと実はこのアウターリバーシブルになっており、自分の存じ上げないポケットがありその中に素材表示があったらしい。でポリエステル100%であったことが判明した。(ということはダウンジャケットとか着たら、感動的に暖かいということだろうか?)
それはともかくリバーシブルであったということは、自分は購入してからこのアウターの250円分の側面しか知らなかったということになる。

そしてその250円のアウターを1410円で綺麗にしてもらっていたのである。


自分も含め多くの人が一つの基準として物の価値を価格で判断するように仕向けられてきているが、気づけば自分は値札をつけれないようなものばかり大切にしている傾向にある。これが何を意味しているかはわからないが、自分はそれでいて十分満足している。

GD


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