モーゼスおばあさんに教わった、人生100年時代の生き方
先日、ずっとずっと行きたいと思っていた「グランマ・モーゼス展」へ行ってきた。
彼女の本名は、アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス。
ゴッホ、ピカソ、ルノワール...など世界的に名の知れた画家ではないけれど、アメリカでは誰もが知るとっても有名な国民的画家さん。女流画家として大統領からも表彰を受けるほどの著名になられた方。
私はこの展示展が開催されることを知り、はじめてグランマ・モーゼスさん、ないし、モーゼスおばあさんの存在を知った。
アメリカ・バーモンド州の広大な自然に囲まれた田舎で、それまで農家の主婦だったモーゼスおばあさんは、70歳にして初めて絵筆を手に取り、本格的に絵を描き始めたのだそう。
もともとは趣味で「刺繍絵」や「キルト」などをしていたそうだが、リュウマチで手が動かなくなってしまってから、リハビリを重ねて「油絵」を始めたという。
そんな、絵画を始める前の趣味だった当時の刺繍絵の作品から展示が始まり、ポップで可愛らしい色使いでいて、細部まで様々な手法を凝らしているこだわりの詰まった刺繍絵たちに心がくすぐられ、とても癒された。
1940年、ニューヨークで初の個展を開催したのは80歳の時。
この個展から一躍有名になったモーゼスおばあさんは、亡くなられる101歳までずっと絵を描き続けたそう。
その数は約1600点。
このお歳になられても廃ることのない創作意欲にただただ圧倒された。
主婦の仕事や動物たちの世話もしながら、少しの時間を見つけて積極的に絵を描き続けたのだろうなぁと思うと、とても尊敬します。
農村での日常の暮らしぶりを描いたモーゼスおばあさんの絵の世界は、どこかで見たことのあるような懐かしさがあって、優しくて温かい作品ばかり。印象派風の風景画の中に点々と描かれている動物や人々が愛嬌たっぷりでかわいくて....そのギャップにとてもキュンとさせられた。
絵の細部まで驚くほど細かなタッチで描かれていて、このお歳でこれを・・・?と何度も仰天した。
私の印象に残った作品は、
「フージック川、夏」
「村の結婚式」
「洗濯物をとり込む」
「シュガリング・オフ」
「アップルバター作り」
「来年までさようなら」
幼いころの記憶や想像を材料に描いている作品は、とても愛くるしいものが沢山あってほっこりしたなぁ。
人物のひとつひとつの表情や動きがかわいくって、観ていて何度も自然に笑顔がこぼれる。
展覧会の最後は100歳で絶筆となった絵が飾られていた。
体調を崩しながらも最後まで描き切ったそう。
『虹』とタイトルが付いたその作品には、大きく虹が描かれていた。
本当にしっかりとしたタッチで描かれており、とても100歳の方が描いたとは思えないくらい素晴らしい絵で、思わず涙がこぼれた。
明るい未来を想像して描き続けたというモーゼスおばあさんの想いが伝わってくるようだった。
自分の人生を楽しく前向きに過ごされたモーゼスおばあさん。
そんな明るい生き方が作品ひとつひとつに込められているように感じた。
これが国民から愛される理由なんだなぁと思った。
美術館に行くときに一番楽しみな、グッズ購入。
ポストカードを集めるのが好きで、気に入った作品のものはついたくさん購入してしまう。10枚ほど厳選して購入(厳選できていない)。
他にも絵本やしおり、マグネット、トートバッグ、美術展の定番の図録などなど、可愛い絵柄たちのグッズがたくさん並んでいて目移りした。
冬の雪が降っている作品が気に入って、ポストカードを探したけど見当たらなかったので、しおりになっていた絵柄のものを購入。ほんとに可愛い...。勉強用に使おうっと。
本当にどれもかわいらしくって美しい絵に何度も感動しました。
モーゼスおばあさんの遺した数々の言葉たちも胸に残っている。
年を気にして生きたことがない。
人生は自分自身がつくるものだ。これまでも、これからも。
私の人生は、振り返ればよく働いた一日のようなものでした。
人生100年時代を、私はどう生きよう。
悲しいことは考えず、明るく前向きに楽しい人生を生きたい。
そんなことを思える、美しくて綺麗な日だった。
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