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タテなのか、ヨコなのか。 ほんの小さな 「ん?」のこと。

2023年秋に、慶応義塾大学アート・センター
学術資料としての大学の建築冊子を作りました。

慶應義塾の建築 Focus No.2/B5判/56頁
(2023年9月刊行)
表紙絵:わじまやさほ


予算ありきのお任せコースだったので
ページネーション・印刷仕様・
全体イメージ、ほか
こちらで熟考します。
編集の方がいない案件の時は、
手を動かして形を作るより
考える作業の方に時間も頭も使います。

仕上がっている一部の原稿から
どんな内容かをはかり
コンテンツごとの、
なんとなくのレイアウトを決めます。
そこから、お客さんと話をして
こねて、こねて…………。
と、流れを書いていても
長くなるので今はやめます。


原稿をもらいはじめると、
それぞれのパートがかなりの文章量。
ここまで長い&こういう文体なら、
タテ組みがよさそう、
と考え提案したところ
「学術書にあたるのでヨコ組で。」
と、バサッとタテ組み案は終了しました。

ん?  学術書はそういうものなのか……。
と思ってその時は進めたのですが
自分の中の(ん?)が気になり
のちに調べていったら
学術書だからといって
横組でなければいけない定義は特になく
“業界としての慣習” のようなものが
大いにありそうでした。

そういう事って他の事柄でもあるよなぁ、
と思います。
読む人の年代や今の流れも加味しつつ
よりよくと考えて
変化させていくことだけが
必ずしも、よいなにか、を
もたらすわけではないし。
昔からなんとなしに続く習慣
やり方、見える形にも
同じように思います。

タテでもヨコでも
よい落とし所はあるし
デザインにこれといった正解はありません。
ただ、可能性や理由を
自分なりに考えることは大切だなと感じます。

お客さん:〇〇は〇〇なので
私:はい、わかりました(ん?)

やりとりの時に
たまに出くわすこんな感じの
ほんの小さな「ん?」。

小さくて(いそがしい時は特に)
見逃しがちなんですが、
なににそう感じたのか
感覚を丁寧に扱ってあげて
調べたり考えてみることって
とても大切なことかもしれなくて
「ん?」
に対しては、デザインだけじゃなく
注意深くいる必要があるな、と
思った出来事でした。

村野藤吾さんのつくる螺旋階段の
手すりのラインが好きです。
そういうのも「ん?」のひとつで
なににそう感じたのか
考える必要がありそうです。


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