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浄化のアヌシー湖。

 疲労から体調を戻しつつ、いつも通り6時頃に起床。時差ボケも無くなった。今日はアヌシー旅行のため2日前同様にリヨン・パールデュー駅まで向かう。アヌシーは留学中に訪れたことがあり、あまりにも綺麗な湖に感動を覚えた。その透明度の高さから「フランスのベニス」や「サヴォアの宝石」と例えられる。もう一度あの湖に行き、心身を浄化させたいと思い、今回の旅先に選んだ。

 駅に着いてホームまで行き、電車を待つものの時間になってもなかなか電車が来ない。するとアナウンスが入り、案の定遅延。フランスの洗礼を4日目に受けた。留学中に遅延は何度も経験したので計算内。ストでまだキャンセルにならないだけマシだった。SNCFのアプリに遅延のアナウンスと同時に通知が来るのが非常に便利。ハプニングの多いフランス旅行には必須のアプリだ。寒いホームで待っていると日本人親子らしき2人組が居て、日本語でぶつぶつと文句を言っていた。郷に入ったら郷に従えと言うわけではないがBienvenue en Franceと声をかけたくなった。

遅延時の通知

 最終的に電車が来たのは30分後。まだマシかな?と思い、その後電車はリヨンを出発した。今回の電車はTER(Transport Express Régional) で地域圏急行輸送という地域ごとの旅客サービスだ。リヨンからアヌシーまで3時間。地図で見るより意外と長くかかる。サヴォワ地方は自然が多く山道を電車が走った。旅の疲れが取れ切れていないのでうたた寝気味。外国なので日本と違い、電車などの交通機関で油断は禁物。スリが多発する国ではiPhoneの使用を控え、常に必ずジャケットのボタン留めポケットに締まっていた。フランスに住めないと思うのは日本と治安が大きく異なるため。しかし、これを書いている24年4月に思うことは日本も地震大国である点において色々と難しく感じてしまう。

 話が逸れたが、無事アヌシーに到着した。着いた瞬間に感じたのはマイナスイオン。リヨンという都会からアヌシーの地方都市へ出ただけで街の空気感が違った。お目当ての湖まで歩きながら、7年前の記憶がまた少し蘇った。当時は大学の友人と訪れて、大雨予報だったのにも関わらず快晴だった。今回は案の定曇りだったが再び来ることができただけでも満足。近づくにつれて透明度の高い水が視界に入り、アヌシー観光名所の一つである愛の橋が見えた。人気のため相変わらず旅行客が多い。それから湖付近の広場に出て、アルプス山群が目の前に飛び込んで来た時は感動した。緑も水もある点において、これ以上無いくらい素晴らしい環境だ。この辺りを毎日ランニングや散歩できるのは贅沢過ぎる。

愛の橋
アルプス山群

 湖の周りを一周し、自然を楽しめたところで旧市街方面へ行く。アヌシーの旧市街はパステルカラーでアルザスのコルマールを思い出させる。こういう街で当てもなく迷う感覚が堪らない。効率良く旅したいため事前に行きたいところを決めてから現地に向かうがこういうのも悪くない。アヌシーの絵葉書でもよく見るパレ・ド・リルも良い雰囲気。水面に浮かぶ鴨もまた風情を感じた。疲れたところでジェラードを頂く。こんなマイナスイオンを感じられる場所で食べたら味は格別。まさに思考の域だった。

パレ・ド・リル
🦆
チョコレート🍧

 ある程度楽しんだところで電車の時刻に近づいていたので駅まで向かう。待合所?と呼べるのか分からない場所で電車を待ったが、ここでも治安の悪化を感じた。クッション性の椅子が切り刻まれて綿が飛び出ていたり、清掃が行き届いていないのかハエが集っていた。現地の人はこれが当たり前だと思っているのか何も改善しない。恐らく夏に起きたフランス全土の暴動の名残りだろう。駅のドアもリヨンで見たようにヒビが入っていた。フランスの変貌ぶりを肌で感じながらリヨンまで向かう電車が来て乗車。ここでとても懐かしいことに昔の車両に当たった。TERが新型車両を導入したのか昔よく乗っていた車両を見かけなかった。留学時代をまた思い出すきっかけを最後に帰路につく。

旧TERの車内

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