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飲食店10年の「売上げ」と「借金」の振り返り

2011年12月5日 広島県福山市水吞町に飲食店「水呑CafeBoneu(ミノミカフェボヌー)」をオープン

今回のタイトル通り、10年間飲食店をしてきた軌跡を取り組みや出来事の視点ではなく「売り上げ」と「借金」の視点で振り返って自己分析したいと思っています。

目次
①.開業資金と借り入れ
②.5年目までの売り上げと借り入れの推移 
③.6年目の変化と結果
④.8年目の転機と好転
⑤.9年目の激震
⑥.10年目の現状

①.開業資金と借り入れ

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自己資金0円での開業でしたのですが、何とか借り入れ「200万円」に成功し、居ぬきの物件の開業資金を200万円でしました

開業時   売上 0円   借金200万円

飲食店の開業資金としてはかなり抑えた形でスタートできたと思います。
居ぬきで大型の機材はそのまま使えたこと、店内は基本工事はせず、修繕や買い足しなどで済ませたこと。さらに親戚や知り合いの助けで掃除や準備にお金をかけなかったことも大きな要因です。また、現状あるものに合わせてコンセプトやメニューも決め、購入物を徹底的に抑えたこともあわせてすべてが、開業資金をおさえることが出来た理由です


②.5年目までの売り上げと借り入れの推移

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開業5年目までは紆余曲折ありながらもチャレンジを重ね売り上げは右肩上がりでしたがずっと赤字でした。つまり、売り上げは年々上がるのですが経費も増えつづけ、損益分岐点を越えられず、年間平均150万円ほどの借金を積み重ねていました

売上 1年目 1400万 →右肩上がり→ 5年目 1800万
借金 開業時 200万→5年目 800万

開業当時は1500万が損益の分岐点と考え、売り上げを伸ばしてましたが5年目に売り上げが1800万円になっても赤字の経営は続いていました。資金繰りの限界が来ては借り入れをし、あと少し、あと少しと経営を続けていました。それでも売り上げが上がり続けていたので、銀行からの借り入れはスムーズでしたし、経営は厳しく感じつつも「この先には利益体質の未来がある」といった前向きな気持ちで進めた5年でした。

③.6年目の変化と結果

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1800万円の売り上げを出したときには、イベント出店や、企画ものなど様々なことをやりつくした感があったので、さすがに「このやり方では違うのではないか?」という迷いが出てきました。そこで6年目、より大きく経営方針を変えて「利益率の悪い商品や企画・イベントは撤退し、売り上げを下げても利益を足せる体質に改善する」ことにしました

売上 6年目 1600万 7年目 1500万
借金 しかしさらに増えつづける

5年目以降、様々な取り組みを見直し、利益体質にするため経営改善する中、肝心の外食事業(イートン店内飲食)の売り上げが落ちていったのです。この外食事業を伸ばすことを前提にしていたので、ここで売り上げは下がり、赤字も増える、最悪の2年間がありました。


④.8年目の転機と好転

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売上も落ちつづけ、いよいよ銀行への返済も、さらなる借り入れもできなくなり、そこで、銀行と相談し、返済を1年間待っていただき、その一年の猶予で経営を利益体質にする計画書を提出し、実行。8年目、その成果を出す事が出来、2019年には何とか赤字経営から脱却しました。

売上 8年目 1500万 
借金の月々の返済は利子のみの1年間

もう後がない状態でしたので、徹底的経費の削減に入りました。具体的にもっとも大きく取り組んだのは「人件費」です。とはいえ、人件費削減を一言で片づけられないのは、人がいないと出来ないことがほとんどだからです。つまり、メニューやコンセプトも含めて変えなければ人件費は落とせません。この時、私の右腕としてずっと支えてくれたスタッフに辞めてもらいました。それは開業以来、最もつらく情けない決断でした。しかし、そのタイミングで、それまで積み上げてきた取り組みなどが少しづつ成果を出し始め、経営は黒字体質に変貌しました。


⑤.9年目の激震

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2020年、9年目に入り、「さあこれから借金返済をスタートしよう」と思った矢先に起こったのが、世界中で起こったパンデミックです。4月の段階でBoneuの主事業である店内飲食は閉鎖し、テイクアウトのみに業態変更。8月には店内をリニューアルしてSHOPの商品スペースを大幅に拡大し、厨房やレジまわりもテイクアウト専用に改装しました。銀行とは引き続き利子のみの返済をもう1年続けるように変更

売上 9年目 900万
借金の月々の返済は利子のみの2年目

9年目にしてやっと利益体質になり、借金の返済計画や事業計画も前向きなものが出来たその年に、まさかのパンデミック、、、ただ、捉え方によっては、もう1年早くパンデミックが来ていたら間違いなく最悪のシナリオで事業を終了していたと思うので、「間に合った」とも言えなくもありません。2020年4月の段階で「これは数年続くかもしれない、、、」と判断し、徹底的な規模の縮小と活動の停止に踏み切りました。イートインの飲食が売り上げの8割でしたから、そのイートイン飲食からの撤退は大きな決断となりました。その分徹底的にテイクアウトに気持ちもオペレーションもシフトし臨んだ2020年です。


⑥.10年目の現状

2021年社会情勢は2020年と変わらず現在2020年5月も全国各地に緊急事態宣言が出ています。テイクアウト専門にシフトして丸1年、失った店内飲食の売り上げを補填するには遠く及びませんし、現状その兆しもありませんが、規模を縮小した中でどのように経営をしていくか?その答えを見つける作業は相変わらず難しくも楽しいです。ただ、一つ大きく変わったことの一つは「時間の使いかた」です。開業から10年。2020年からのこの1年ほど家族と過ごした時間はありませんでしたし、仕事以外の自分の仕事にこんなに時間を使ったこともありませんでした。

経営の答えも解らず、成果も見えない10年間でしたが、わからないながらも前を向いて続けてこれたのは、周りの支えがあってのことはもちろんですが、私自身がこれ以外に何もできない人間だからです。
 何度も「やめるしかない、、」といった気持ちになりましたが、そのたびに「ではほかにどうするのか?」という問いにぶつかり「これ以外にない」と、この問答を続けています。
 もうだめかもしれないって時に、最後に力になるのは「好きだから」とか「天職」といった、ポジティブなメッセージではなく「これ以外に俺に何が出来るの?」って、そんな
情けなくも切ないメッセージでした。でも、それが10年間続けてきた私にとっての宝物のような言葉です

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