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麻雀 逆境の凌ぎ方ver.多井隆晴

Mリーグ2020 11/26開催 第二試合

最強雀士 多井隆晴が出場した。

最速最強とか言われている多井だが、この日の多井はとにかく後手に回らされていた。周りの方がよっぽど最速やんけ。

苦しい立ち上がり

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東一局は親の朝倉のダブリーから始まり

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自身がこんな配牌では第一打からのベタ降り

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対面の近藤からもリーチが入っては、流局をお祈りするしか無い。

そもそも前順に打ったドラの中も苦しかった。

もしドラで打ち上げたら致命傷だが、放銃率が一番小さいのは2枚見えの字牌だ、という理由で選んだ。

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結果は運良く流局

続く1本場

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なかなか悪くない配牌とツモだったが、上家の二階堂が何やらドラ色に染めていそうな雰囲気

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役牌のポンが入り

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萬子のめちゃ強い両面ターツ落とし。あれは間違いなく染まり切ったサインだ。

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ドラ6sも余らされては3sなんか打てるはずもない。

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そのまま二階堂が満貫をツモ上がった。

苦しい手牌からの反撃

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愚形3つ残りの2向聴。まだ序盤だから、なんとか間に合うこともあるか?

とりあえずイッツーの目も残すが

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この巡目でまずはイッツーを諦め

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じわじわと前進。

最低限のブロックを残しつつ、将来他家の危険牌を打ち出す可能性が残る受け入れは拒否していく。

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この7mと5s切りからの

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ここでは3m切りとしなかったのは、7sの受け入れというよりは親の近藤へのダマケアか

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下家の朝倉からリーチが来るも

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7p埋まりの聴牌なら行く価値はあるか。

ツモ番の無いリーチも、この3mさえ通せば朝倉と近藤の2人の河から一方的に上がり抽選だけ受けられる。

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親権維持のために聴牌プッシュした近藤から見事に討ち取った。

オーラス親までの受難

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東3局では絶望配牌からの

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朝倉の先制リーチ。

当然のそのままオリ。結果は近藤の2600放銃。

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親番は配牌こそ悪くなかったが

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この後変化することなく聴牌すらとれなかった

そして、南入しても

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後手番ばかりが続いた

事件の南2局

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南2局、相変わらずのクソ配牌

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からの二階堂リーチ。これが

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まさかの倍ツモ。

南3局、二階堂のスキ

「大好き!」の方じゃなく「隙」の方ですね。

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南3局も、ついに多井が上がれるか、と思わせる配牌だったが

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まさかの3件リーチ。

これ、二階堂が若干焦ったかな?というのが正直なところ。

二階堂の立場で考えた時に朝倉、近藤のどちらが上がっても困ることはないはずだ。

むしろどちらかに満貫くらい上がってくれた方がオーラスで多井と上がり競争が発生するので、むしろありがたいくらいだろう。

というか、去年までの二階堂なら降りていたと思う。そもそも二階堂のスタイルがそもそも守備寄りだしね。

しかし、ご存知の通り、風林火山は今季の決意表明文を公式に出している。殴り合いに行くぞ、といった内容でしたね。

実際に麻雀を見ていても、チーム全体として去年までと比べて攻撃的な打牌選択、鳴き選択が多くなっている。

とはいえ、流石にここでの3件目の追っかけとして首を突っ込むのはどうだろうか。

もし先行リーチ者のどちらかに満貫でも打とうものなら、オーラス親の多井には「マンツモ」というかなり現実的な逆転ルートを許してしまう。

攻撃的なスタイルに変更するとはいっても、全員横並びの状況でリスクを負うのと、自分が突き抜けた状況でリスクを負うのとでは、リスクの価値が大きく変わる。

この場面も仮に二階堂の先行リーチなら素点稼ぎ&多井との点差のため、としてリスクを受け入れるだけのメリットが有りそうだ。

しかし、流石に3件目となれば話は全く違うのだここは素直に道を譲るべきだっただろう。

この3件リーチの結末は多井には幸運なことに、二階堂には最悪なことに、二階堂から近藤への満貫放銃という結末に終わった。

オーラスの3連続上がり

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トップ目の二階堂を親のマンツモ圏内に捉えてのオーラス

多井の配牌は上々

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しかし、なかなか聴牌にこぎつけなかった。

これ以上は我慢できないとの判断。

チーテンの2900を取り、近藤から直撃した

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続く一本場、段々と配牌が上向いてきている

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これが順調に育ち、朝倉から3900の直撃

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運命の2本場、ついに多井にチャンスが巡ってきた。

この手牌が

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盤石の形となり

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一瞬で聴牌

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裏ものってドヤ顔でハネツモしてましたね。

伝家の宝刀、配牌オリ

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これだけリードをもらってこの配牌、多井は当然

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ダブル無筋の牌から連打連打

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二階堂からリーチが入るも

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なんとか逃げ切りを果たした。

逆境の凌ぎ

そもそもこの試合で、多井が南3局までに聴牌したのは1回だけだった。

それでいて、オーラス開始時点での多井の持ち点は原点を超えていた

これ、めちゃくちゃ凄いことじゃないですか?

聴牌が1回だけですよ?

東2局の、最後のツモ番の無いリーチを打った1回だけ。

後はオーラスの親まで1回も聴牌すらしていない。

もちろん、手牌が悪かったから安牌を残して手狭に受けたために聴牌できなかった局もあった。

それでも聴牌したのが1回だけって。

それでオーラスが始まった瞬間に原点残ってるって凄すぎやしませんかね。

Q.残りツモ番の無いリーチが上がれるって奇跡じゃね?ただのラッキーマンでしょ?

Q.リーチが飛んできていた割にはツモられが少なかった。ただラッキーだっただけじゃないか?

確かにその通りですね。

だが、麻雀というゲームの性質上、抽選の結果を待つしかない、という場面は当然出てくる。

今回の多井のように先制ばかりされてしまったときでもしっかり我慢を重ねて、少しでも自身の持ち点が削られないように安牌を打ち続け、横移動の可能性に賭けることが大事なのだ。

いずれ回ってくるかもしれない自分のチャンス。それが実際に目の前に降りてきた時に巻き返せる位置に付けておくことが、結果逆転率の上昇に繋がるのだから。

多井の取り入れている戦術、配牌オリ。

なかなか他に見る機会は少ない。

そもそもオリ、という行為自体が麻雀打ちにとってストレスであることはほぼ間違い無いだろう。だって皆上がりたいじゃんね。

しかし、勝負を諦めないからこそオリるべき局面というのは間違いなく存在する。

誰もがつまらないと思う逆境だからこそ、いかにそれを凌ぐのか。

そこに麻雀打ちとしての真価が問われているのではないだろうか。

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