Mリーガーの読みと対応速度
Mリーグ2020 11/27開催 第1試合から
藤崎、序盤の理想への追求
村上の第一打の1sをポンして打8p
いくらトップ目とはいえ、4700差なんて一回の上がりでひっくり返る。なんとか打点を付けた上がりにしたい。
そして手牌が完全にホンイツに向かえと言っている。
一応ドラ引きのときはドラ面子採用ということで5pが後。
1mツモって打5p、3mツモって打8pとした。
単純な速さだけなら東、南と切られている手牌だが、やはり打点が見たい。
5pと1mの比較だが、このとき藤崎はチャンタも見ていたのだろう。
同じ1飜なら出てきにくいドラ周りよりも端っこの方が優秀。トイトイに進んだ時の待ちとしても1mの方が優秀だ。
8sを切った意図としては、縦の手を強く意識したものと思われる。
また、南の重なりからの9sポン、南ポンで、Maxホンイツホンロートイトイが見えているということだろう。巡目によっては役チャンタの2600にも保険がかけられる。
東重なりの東ポンなら5200聴牌。
とはいえ4sもホンイツの種としては消せない、ということで残った8sが捨てられた形だ。
藤崎の切り返し
しかし、だとするとこの發切りはなんなんだ?となる。
この巡目にして方向転換を強いられることがあったのだ。
一番大きい要素としては下家黒沢のターツ落としだ。
「親の黒沢が早い」
まぁ、おそらくまだ聴牌ではないのだろうが、いつ親の黒沢リーチが飛んできてもおかしくない。
4sはそもそも黒沢の現物なので、手が進んだ時に黒沢と勝負となり得る牌は東と發。
しかも、東や發が出て行く形で手が進んだ先の聴牌はほぼほぼノミ手。
流石に字牌とはいえリーチされたら2枚は押せない。
しかし手元に南さえ残しておけば勝負牌は1枚だけになる。
なるほどな、といったバランスですね。僕は南切っちゃいそうですが。
細かい事を言えば、それなら先に東切った方がいいのでは?くらいでしょうか。ダブ東だし。
一方上家の沢崎の動向も怪しい。
いきなりのドラ6pからの切り出しで8p9pと手出ししてきている。
ほぼほぼ萬子か索子の染め手と見て間違い無いだろう。
自分にこれだけ索子が多いことを考えれば萬子のホンイツが順当か。
とすると、ですよ。
字牌の価値が結構下がります。
そもそも、沢崎が染めてるのなら、沢崎からは相当字牌が出てこなくなりますし、両脇もおいそれとは打ち出してこなくなります。
速そうな黒沢はともかく、村上の立場なら字牌を抱えて降りることも十分あり得るでしょう。
とはいえここでは流石に南を切りますか。
ホンロートイトイが消えたとはいえ、東重なりの高め5200聴牌を逃すわけにはいかない。
沢崎の8s手出しでほぼ萬子染め、4s回りもめちゃくちゃ良くなりました。
親の黒沢が怖いのでもう速度は落とせないですね。
とはいえこれは5m切っちゃいそうだなぁ…自信ないけども。
東切っちゃうと赤引き以外は1300確定(ツモって400-800にもなり得ますが)になっちゃうのがどうも気に入らない。
そもそも5mにくっついても萬子が黒沢の河にも高くて沢崎の河にも高い。
もちろん5の横伸びは字牌の伸びよりも優秀なんですが、上がりまでの速度でそこまで早くなってるかと言われれば微妙かなぁと思います。
結構痛くないですか?
結果はどちらでも上がってました。
とはいえ、黒沢の手牌速度をしっかりと察知して打点狙いから局消化へと切り替えたのは流石ですね。
実際黒沢の手牌は既に親マンの聴牌でした。
まじかよ。
藤崎の手で2mが使えたのはたまたまですが、それでもこの速度感を適切に察知したのは素晴らしいと思います。
沢崎への対応
続いての南1局
おそらく全員が痺れたであろうこの瞬間。
1枚目の47mを沢崎がチーした。
控えめに言って異常事態だ。
ドラを固めてタンヤオに向かったのか?
どうしても4mじゃなきゃダメだったのか?
となると手役は?三色?イッツーか?
見えてない役牌はなんだ?
全員が一瞬でここまで考えただろう。
村上はイッツーをケアして、自身の三色移行を諦め6m切りとした。
そして更に時間が起こる
ここでまた情報の整理
まず沢崎はドラを固めたタンヤオではなかった。
イッツーでもない。
としたらほぼほぼ三色。役牌暗刻とか役バックも無くはないけど、だとしたら1副露目の4mチーがやはり違和感ですね。どっから仕掛けとるねん
そして対面親の藤崎がドラポン。まだタンヤオか役牌頼みかは定かではないが…
ここまで来ると、役牌だとすれば全員の目から見て残っているのは1枚見えの白と初牌の發だけか。
一方この仕掛けを受けた黒沢
チートイの聴牌。上がりやすい方なのは2pだが、6pが沢崎の三色にも藤崎のカン6pにも危ない。
藤崎は3p先切りの9p後なので、タンヤオでカン6pということは無さそうだが、發暗刻だとアウト。
沢崎は…6p片上がりというのは無さそうだけど、自身の手がチートイのみでは小さいリスクでも負うのは厳しいとの判断だろう。
話は逸れますが、黒沢って鳴かない事ばかり目立つけど、こういう守備力があってこそ光りますね。
さて、しかし次巡
同じチートイのみであったとしても、これはもう1mが良すぎる。
ぶちかましたらんかいオラ!親のドラポンがなんぼのもんじゃい!!
大好きです。
お見事。
一貫性と臨機応変
麻雀ってほんと難しいですよね。
藤崎の選択も黒沢の選択も見方によってはフラついてるように見えなくもない。
例えば藤崎の手順なら
「お前さっきまで打点見て形崩しとったのに、何ノミ手の聴牌取りに行っとるんや」
って思う人も結構居ると思うんですよ。
黒沢も、受けた打牌をした次の巡目に一転して攻めのリーチでした。
どちらも裏目ったら結構な批判コメントが沸きそうなもんです。
さっきの打牌と方針違うやんけ、と。
もちろん一貫性というのは大事です。
しかし、それと同じくらい状況に対応して自身の打牌の方向性を変えることも同じくらい大切なこと。
先に強気な選択をしたからといって、次の巡目の自分の打牌も強気な選択が有利とは限らない。
逆に、さっきまで受けてたからといって、次もただ受ければ良いというものでもないのです。
オバカミーコの波溜師匠も言ってます。
ありがとうございました。
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