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47 フリージアけっこうむずかしい平凡

 句集「むずかしい平凡」自解その47。

 この句集「むずかしい平凡」というタイトルになった一句ですね。

 よく聞かれるのが、この句ってどういう意味ですか、という質問。意味といわれても困ってしまいますけれどねえ。

 俳句の場合、作るときに「取り合わせ」という技法があるんですね。

 たとえば、この句の場合、「フリージア」と「けっこうむずかしい平凡」と、直接的には関係ないような言葉が取り合わせられて、一句となっています。だから、一句の形を成してはいるのですが、二つの文章がぶつかり合ってなりたっていると考えるとわかりやすいかも。つまり、こう読むわけです。

 今、目の前にフリージアが咲いている。

 そして、平凡っていうのは、けっこうむずかしいもんだなあ、と感じている。

 フリージアと平凡との間に飛躍があるわけで、この句の場合、その飛躍がわかるかどうかがポイント。フリージアという花には、平凡な中にある非凡さ、平凡を極めた澄んだ香りがあるような気がします。

 平凡ってむずかしいという感慨は、東日本大震災と原発事故のあと、しみじみ痛感させらました。とにかく生活様式が一変。

 もちろん、今のコロナ禍も同じです。

 平凡の尊さ、平凡のありがたさ、それをわかちあう文化を作りたいですね。

 この句に、そんなところまで負わせてしまうのは、ちょっと酷ですけれどね。

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