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19 夜のバナナ大人にだってこども心

 句集「むずかしい平凡」自解その19。

 バナナっていうのは果物なのだろうかって時々思いますね。まあ、ふつうは果物ということになっているんだろうけれど。

 食べるともさもさっとして、ちょっと芋みたいな感じがしますね。まだ若いバナナだと、青々とした匂いがその全身にみなぎっていたりします。なんとなく主食クラスのエネルギーがバナナには存在しているんじゃないかなあと。実際、栄養価も高いみたいですし。

 というようなことをふと考えるんですが、そんなときに、バナナっていうのは、子どもみたいなものかな、と思ってしまった。すべてがあの細長い中にギュッと詰まった子どもの象徴。で、五〇歳を過ぎてもバナナ好きな自分。夜、小腹がすいて、たまたま残っていたバナナを食べていたら、「考えてみれば、大人といはいえ、体の内部にはこどもの心っていうのはどこかにあるはずだよなあ、いやそういうこども心ってのは大事なんじゃないかなあ」と、そんな感慨を持った、という次第です。

 小林一茶っていう江戸化政時代に活躍した俳諧師がいますが、彼などはいつまでもこども心を持ち続けた人なんじゃないかな。

 ああいうこども心を持ったような句、作りたいですね。

 そしてそういうものを大事にすれば、変な、国と国との争いごとなんかなくなるのではないかなあ。

 などと考えてしまうことが、すでにこども心ですね。

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