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30 夜学子のことばの礫飢えているな

 句集「むずかしい平凡」自解その30。

 この句でお判りいただけたかもしれませんが、小生、高校の教師をしております。現在は夜間定時制勤務。「夜学子」とは、夜間学校で学ぶ生徒のことを指します。

 今定時制高校の役割というのは、かつての苦学するところ、というイメージとは変わってきているかもしれませんが、しかし、それゆえいろいろな複雑な状況を背負って学ぶ子も多いんですね。一人一人の背負うものの大きさは、ほんとうに信じられないくらいなものです。

 さて、そんな夜学子が教師に厳しい言葉を投げかける。教師だってちょっとしたミスはする。しかし、そういうミスに細かい生徒が難癖をつける。そこには、世の中に対する基本的反感のようなものが存在する。ことばの礫を投げつけられたほうは、それはそれで傷つく。

 しかし、同時に、この子は何に飢えているんだろうなとも思う。単純に食べ物に飢えているのかもしれないし、もっと別なものに飢えているようにも感じられる。

 こんなもの食ってる場合じゃねえんだよ、ということばの礫。

 夜間定時制高校の生徒には、鍛えさせられます。教師が本気でやらなければ、教師が本気で向き合わなければ、生徒は全く答えない。

 だから、夜学子たちよ。

 もっと教師に、飢えに飢えたことばの礫を投げつけてやれ!

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