見出し画像

ボーンブロスは古代から受け継がれて来た滋養スープ

 ボーンブロスは、生命の源とも言える貴重な栄養がたっぷり詰まっている骨を、煮出すことによって消化吸収を良くした滋養スープです。肉や魚を骨ごと煮込んだスープは、古代から家庭の滋養食として世界各地で受け継がれて来ました。
 ニューヨークのマンハッタンにあるボーンブロス専門店「Brodo」が火付け役となり、健康的な食事の一つとして注目され、日本でも広まりつつあるボーンブロスですが、ヨーロッパやアメリカでは、鶏むね肉や鶏を丸ごと煮込んだチキンスープは、風邪を引いた時や体調が悪い時に飲む伝統的な家庭料理です。
 アメリカ・カリフォルニア州にあるオーガニックレストラン「シェ・パニーズ」の創業者であり、地産地消と食農教育、誰もが健康的でオーガニックの食材を得ることができる社会を提唱してスローフード革命を起こした料理家アリス・ウオータース氏の絵本「ファニーのフランス滞在記」にも、ローストチキンの残りの骨を使った「チキンブロス」が、主人公ファニーがフランスで習ったお料理として紹介されています。特にチキンブロスにスライスにんにくとハーブを加えて作る「にんにくのスープ」は、

「このスープを飲めば、どんな病気も治っちゃう」とママの弁。体を芯から温めてくれる簡単なスープです。                         「ファニーのフランス滞在記」(坂原幹子訳. 京阪神エルマガジン社. 2017年)

と書かれています。
 このように骨付き肉、あるいは魚を骨ごと煮込んでスープにする食文化は、世界各地にあり、中国の「鶏湯(ジータン)」、韓国料理の「参鶏湯(サムゲタン)」も、丸鶏を煮込んだ滋養料理です。日本においては、日常的に煮干しや魚のアラを煮出してだしを取る習慣があり、これはフィッシュボーンブロス と言えます。
 ボーンブロス(骨だしスープ )は、実は古くから活用されてきたことがわかります。
 現代では、長時間煮出してスープにすることで、骨や肉に含まれるタンパク質が、水と一緒に加熱されて分解されることから、栄養を効率良く吸収できることが理解できますが、おそらく、昔の人は本能と経験によって、この骨ごと煮込んだスープが健康に役立つことを知っていたのでしょう。