2023年の「阿佐谷七夕祭」
日本の三大七夕祭の一つが「阿佐谷七夕祭」です。
第67回を迎えた、阿佐谷パールセンターの「阿佐谷七夕祭」に行きました。
「4年ぶりだヨ!全員集合」という折り込みチラシが入ってきたので、急遽中央線•阿佐ヶ谷駅を目指した次第。
くす玉や吹き流しの色の洪水は圧巻で、コロナ禍を経て4年ぶりとはいえ、その迫力は失われていませんでした。
昭和29年に始まったお祭りですが、みどころは商店街の店主さんたちがアイディアをひねり出しながら作る「はりぼて」のオブジェ。
針金と紙を使った飾り物には、その年の流行や世相が反映されていて、とても見ごたえがあります。
手作りの「はりぼて」には、「お客様に喜んでもらいたい」という一心で作られた店主さんたちによる創作以外にも、地元の小学生による作品なども吊るされています。
今年は何と言っても「大谷選手」の活躍がすばらしいのですが、アーケードにつるされていたのはエンジェルスの赤い帽子でした。
【2017年はこうだった編】
2017年は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョニー・デップが迫力を見せていました。
「はりぼて」だけでなく、人間そのものがオブジェになっていました。
何より当時は、小説家で『高円寺純情商店街』の作品で知られるねじめ正一さんの民芸品店がまだ暖簾を守っていました。
「ねじめ民芸店」は、手ぬぐい、和紙、和食器や和小物などが並べられていて、昭和の異空間を作り上げていました。何を買うでもないのですが、そこにはホッとする時間の流れがありました。
そういうお店がなくなってしまったのはとても残念です。しかし、ご本人は店舗の2階で今なお執筆されているそうです。
来年はどんな変化が起こっているかな。楽しみでもあり怖くもあります…。
近い将来、この七夕祭りが過去のものになってしまうのではないかと心配しながら、最後に西岸良平先生の「笹の葉さらさら」をお伝えしたいと思います。
この作品には、昭和30年代、子どもたちが折り紙を買ってきて切ったり貼ったりしながら七夕祭りを楽しんだ様子が描かれています。お願い事を書いて笹の葉に結び付け、最後は川に流す、という夏の行事です。
一方で、作品には、お父さんがこの七夕祭りにかこつけてキャバレーで羽目を外すシーンも。生活が少し安定したところで揺らぐ「男の複雑な心境」も織り込まれています。
それでも最後は我に返るという昭和のお父さんの気概が見事に描かれています。
【ビッグコミックス「三丁目の夕日 夕焼けの詩」第6集収録】
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