「視覚汚染」のないドイツの秋
今年ドイツは、ロシアの“殿のご乱心”の影響を被り激動の一年を経験しました。物価高はその1つ。普通のたまご(1パックは10個入り)は「もともと0.99~1ユーロでしたが、2.6ユーロになりました」とミュンヘン在住のUさん。プラス1ユーロ上昇した感じです。
ウクライナからの移民へのサポートも地域の課題となりました。Uさんによれば「廃校を利用して、自分たちが不要となった生活用品を持ち合って助けた」そうです。一方、フランクフルト在住のVさんは「中央駅ではウクライナからの移民に扮して、金銭を乞うという行為が横行しました」といいます。
景観の美しさの原点には?
電力をいかに確保するか、上昇するガソリンをどうするのか、などなど、さまざまな問題を抱えているドイツですが、それでも“実りの秋”が美しい。欧州に共通する美しさの原点は何か?と考えたとき、「広告掲示物の少なさ」に行き着きます。
前出のVさんは「日本は情報が街に溢れています、これは『視覚汚染』ともいえる現象です」と話していました。私は東京に住んでいますが、八王子を拠点とする「インプラント」の広告看板の、広範な拡大に「そうかもしれない」と思いました。
商業広告は都心の景観づくりにだいぶ“寄与”しています。確かに日本のみならず、アジア全体にその傾向が強いといえます。商業広告は “アジア的エキゾチック”を醸成しているともいえます。
ちなみに、ドイツには至る所にスプレーによる“落書き”があります。これを「若者の心の叫び」とするのはUさんの考えです。「自己表現に達するアートだ」ともいえるでしょう。
一方で、東京でもこの落書きが増えていて、「電車から我が家を見て初めて、(線路側の壁に)落書きされているのに気づいた」という友人の話を聞いたことがあります。環七、環八沿線の住居の落書きもここ数年で増えました。東京の多くの住民がこの問題に向き合う日がすでに到来しています。
景観づくりの前提に「それが人にとって心地よさを残すものなのかどうか」があるべきだろうと考えます。私は「まちづくりの思想」の著者である故本間義人先生を敬愛していますが、昭和の先達が残した著書には多くのヒントが隠されています。
お話はここまで。以下、数枚。ドイツの秋の町を早足で。
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