⭕ 4/3に公表された「日銀短観」、4/10の「日銀総裁・副総裁記者会見」、4/11「鈴木財務大臣会見」を簡単にまとめてみました。
① 日銀短観 4/3
✅ 日本の景気はどうでしょうか?企業へのアンケートで日本経済の先行きを予測してみましょう。数値と表しか出ていないので、人によって意見は様々だと思いますが、概ねの景況感は知る事が出来ると思います。
1. 業況判断
製造業の景況感は低下気味、非製造業(サービス業)はコロナ明けの影響が大きいと感じられ上昇基調。
2. 価格判断
価格はまだ上昇する、せざるを得ない、と思えます。直近の消費者物価指数は+3.3%、生産者物価指数は+7.2%。数値だけを見れば、ピークアウトしたと捉える企業担当者は多く、ディスインフレに向かっている。
3. 売上高判断
売上高成長率は前年より大幅に鈍化予測、全規模合計で前年比+1.1%。インフレが一周した事も大きい。
4. 雇用人員判断
全体的に人手不足、特にサービス業、飲食、宿泊など新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ業種が、今春のコロナ明けと共に人手不足となっています。
② 日銀総裁・副総裁就任記者会見 4/10
✅ 4/10 19:15から日銀総裁・副総裁就任記者会見がありました。結論として金融政策は現状維持ですが、植田新総裁の基本指針となるような回答を抜粋してみました。
⭕ 物価の安定と金融システムの安定の実現に向けて尽力する。
⭕ 欧米の銀行破綻が日本経済に大きな影響を与える事は今の所無い。
⭕ 現行のYCCを継続するのが適当であると考えている。
⭕ 2%の物価目標を 10 年で達成できなかった要因は、物価や賃金が上がらないということを前提にした物価や賃金の設定行動あるいは企業行動が広まってしまっていた事が大きかった。
⭕ 金利操作、ETFの購入については、たまたま副作用が目立っているからというだけで、それの導入がまずか ったという結論にはならないのかなと思います。
③ 鈴木財務相会見 4/11
✅ 植田日銀体制のスタート後、初の鈴木財務相の会見ですが、緊縮財政の強化と捉えられる発言が見られます。景気後退の引き金となるでしょうか?
⭕ 政府としては日銀が国債を買い入れるとの前提に立った財政運営を行うことが適切とは考えておりません。
⭕ 今後とも財政健全化に向けて、プライマリーバランスを2025年度に黒字化すること。
景気対策縮小、増税の匂いがとても漂っています。
④ まとめ
⭕ 日銀短観から読み取れる景況感としてサービス業、特に飲食や宿泊の売上増と人手不足による賃金の上昇が予測される。全規模として、成長率は鈍化傾向を日本企業は織り込んでいる。
⭕ 日銀総裁・副総裁の会見は「具体的にどうする」という発言は無く、粛々と市場の混乱も誘わず終わった印象でした。一番の焦点は「イールドカーブコントロール」の見直し検討があるかどうかでしたが、現状維持を貫いた形になりました。5/8、新体制初の金融政策会合に注目。
⭕ 財務省が以前から主張している、財政健全化、プライマリーバランスの黒字化を今回も発言しています。国債の発行に消極的で、政府日銀連合軍の解体ともとれる発言もあり、実質的に景気対策は縮小すると思われる。需要が強すぎるのであれば、正しい選択だと思いますが、2023年度予算の予備費も4兆円と需給ギャップを埋めるには少なく、GDP成長率は鈍化する予想がつき、日経株価も低迷するのではと感じます。