見出し画像

2023/5/13 今週の米国経済指標まとめ

⭕ 今週の米国経済指標、消費者物価指数 CPI、生産者物価指数 PPI、米国債務上限について簡単にまとめてみました。


① 4月 消費者物価指数 CPI 5/10

⭕ インフレ率(前年比)
総合 結果+4.9% 予想+5.0% (先月+5.0%)
コア 結果+5.5% 予想+5.5% (先月+5.6%)

★ 利上げバイアス ⤵

✅ 明確なインフレ鈍化が進み前年比5%を切る。6/14開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて利上げ停止がほぼ織り込まれた。
(CME fedwatch FFレート現状維持予想が99.7%)5/10時点

 それにより、市場では米国株は上昇。米国10年債利回りは低下、ドル売りが進み、全面的にドル安となり、やや円高に振れた。(一時133円台に)

出典元  TRADINGECONOMICS


 米労働省が10日発表した4月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比の伸び率が4.9%と2年ぶりに5%を下回り、2021年4月以降で最小となった。米連邦準備理事会(FRB)が注目している住宅以外のコアサービス価格の伸びも鈍化し、FRBが6月にも利上げを停止する可能性を示唆した。
 アルファベットは傘下グーグルが生成人工知能(AI)を搭載した新たな検索機能を発表したことを受けて4.10%上昇。ナスダックを押し上げた。他の大型テクノロジー株も買われ、アップルは1.04%、マイクロソフトは1.73%、それぞれ上昇した。

出典元 Reuters 5/11



② 4月 生産者物価指数 PPI 5/11

⭕ 生産者物価指数 (前年比)
総合 結果+2.3% 予想+2.4% (先月+2.7%)
コア 結果+3.2% 予想+3.3% (先月+3.4%)

★ 利上げバイアス ⤵

✅ 川上の生産者物価指数の鈍化も順調。景気後退を織り込み、在庫縮小、釣られて原油価格も低下傾向。(1バレル 70.95ドル 5/11)

出典元  TRADINGECONOMICS

生産者物価指数 PPI/Producer Price Index
米国(アメリカ)の労働統計局(BLS:U.S Bureau of Labor Statistics)が毎月算出・公表している米国内の生産者の卸売の物価指数で、売り手の観点から価格変動を測定した指標。

生産者が財とサービスにより多く支払えば、それは消費者物価に反映されるため、PPIは消費者物価指数の先行指標と考えられている。


③ 米国債務上限引き上げを巡る市場の混乱

✅ 米国の債務は年を追うごとに増え、上限達する前に、都度議会により引き上げて来ました。

 しかし、2022年の中間選挙で、共和党が下院を過半数を抑え、上院は民主党過半数、下院は共和党過半数となる「ねじれ国会」となり、法案可決が難航する事が予想され、早くて6月には米国の資金が枯渇し、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性があり、世界の金融、経済の混乱を招く恐れがあると、専門家は報じています。

✅ 米国議会は「最終的には必ず間に合わせる」はずですが、市場は急激な債権の売り攻勢、相場が荒っぽくなるなどの混乱あるとは思いますが、一時的なものと考えます。トランプ大統領時代にも、政府機関を一時休止するなど事例があり、多少の不具合は必ず生じると考えられます。

✅ 2001年ブッシュ大統領時代には6兆ドルだったのが、2022年バイデン大統領時代には30兆ドルと20年で5倍に膨れ上がっています。国の借金により米国は成長してきたとも言えます。
 しかし、コロナ対策の「ばら撒き作戦のやり過ぎ」が直近のインフレを招いた大きな要因であるのは間違いありません。


 パウエル議長が予想する軟着陸実現には、米経済が次の三つの大きなハードルをクリアする必要がありそうだが、いずれも今年下期(7-12月)の景気下降を示唆している。

● 迫り来る信用逼迫(ひっぱく)=米金融当局の引き締めと一連の米地銀経営破綻の影響が相まって、中小企業や商業用不動産が特に強い打撃を受ける恐れがある

● 連邦債務上限引き上げを巡る行き詰まり=民主・共和両党の対立は頂点に達しており、金融面の高ストレス期間が続く可能性がある。米国がデフォルト(債務不履行)に陥れば、経済や市場への影響は2008年の金融危機に匹敵すると想定される

● エルニーニョ現象に伴う気象面の不確実性=この現象は勢力を増し、世界中で過酷な気象条件をもたらす恐れがある。商品供給に混乱が生じて物価を押し上げれば、米金融当局はインフレ抑制に引き続き注力することになる

出典元 Bloomberg 5/8



④ 重要経済指標のおさらい 


✅ 3月 小売売上高 4/14
小売売上高(前月比)
総合 結果-1.0% 予想-0.4%
★ 2か月連続の減少 利上げバイアス ⤵


✅ 米国総合PMI 速報値 4/21
結果 53.5 前回 52.3 先月比+1.2
★ 中小企業を含める景況感は上昇 利上げバイアス ⤴


✅ 米国GDP成長率 1-3月期 (前期比) 4/27
結果 +1.1% 前回 +2.6% 
★ 成長率大幅の鈍化 利上げバイアス ⤵


✅ 3月 個人消費支出 PCE 4/28
● PCEデフレーター 
 結果 +4.2%  先月 +5.0%
 コアPCEデフレーター(食品とエネ除く)
 結果 +4.6%  先月 +4.6%
★ インフレピークは高止まり状態 利上げバイアス ⤴


 米供給管理協会(ISM)製造業PMI 5/1
結果 47.1 
前回 46.3 先月比+0.8
★ 6か月連続で50を切り製造業の低迷 利上げバイアス ➡ (横ばい)


✅ 米国雇用統計 5/5
● 非農業部門雇用者数 +253,000人(予想+185,000人)
● 失業率 3.4%(予想3.6%)
● 平均時給増減 +4.4%(予想+4.2%)前年同月比
★ 失業率は再び数十年ぶりの低水準、約平均時給は4500円
利上げバイアス ⤴


⑤ 利上げマップ 5/13

✅ 次回、6/14のFOMCは現状維持予想が84.5%となっております。直近の金融不安の再燃を受け、ストレスに配慮し現状維持が有力。

出典元 CMEのFedWatch ツール

⑥ まとめ

⭕ 6/14開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、消費者物価指数と生産者物価指数のインフレの鈍化傾向を受け、5/13時点でFFレート現状維持予想が84.5%。

⭕ 米国債務上限引き上げを巡る市場の混乱。過去何度となく引き上げられて来たが、ねじれ国会により法案可決が難航する事が予想される。

これにより、バイデン大統領が広島サミットに欠席、オンラインになる可能性も(G7広島サミット 5/19~21)

「議会がもし債務上限を引き上げない場合、米国の信用格付けは傷つき、一部の支払いはデフォルト(不履行)となる他ない」(イエレン米財務長官)

⭕ 高インフレ、金融不安、債務危機など多くの経済に関する悪いニュースが広まった事により、5月に入ってから景気への不安を強めており消費マインドは低下傾向にある。
(ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー)

⭕ 5/12、金融スワップ市場で次回FOMCで利上げ観測が復活し、最終日、円安ドル高に振れた。135円台へ戻す


今週の米国株主要3指数(前週比)
NYDOW 33,300 -1.11%
NASDAQ 12,284 +0.40%
S&P500 4,124 -0.29%


来週の米国経済指標
5/16 4月 小売売上高
5/18 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?