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二年目の石と桃

 二年目の【石と桃】を飯田橋ROLLへ見に行った。
マンションのエントランスへ・・・は入らず横にある喫煙所へ。
ガラスの反射と何処か懐かしい作りのセントラルコーポラスを眺めながらの一服の時間が大好きだ。

 一階角にあるROLLの扉が今年は閉まっていて、照明は消えていた。
奥の壁に飾られている小さな一枚の写真が、そのサイズもあってぽつん。と見えるだけだった。近づいてみると発光する猫の写真だった。
もちろん猫は発光しないけれど、もし猫が発光したなら、それも可愛さになるだろうと思った。

 白いコンクリートの壁に大小様々かつ立体の作品達が飾られて囲まれる。
視界の外から終始気配を感じ、奇妙で落ち着かない。けれどそれは不快ではなく、、、良い例えが浮かばないが、林や森の中で静けさに慣れた頃に来る波のような感覚。とも違う。

何かがそこにいる。

と存在感が背中や首や頬に触れてくる。あるいは包み込まれている。
そんな世界だった。


 木村さんが仰っていた『鑑賞者を、強く言ってしまうと【突き放す】』『完璧な再現は目指していない』
実際に体験の出来ない、アリス症候群の症状。という種を写真へと埋め込み具象化させた作品達からは、私が感じた何かが蠢いている気がした。

近づいて離れて覗き込み見入ってしまう。まるで何かを探すように。
きっと鑑賞者それぞれの見る姿勢があの部屋で生まれているのだろうと思う。

突き放すと仰っていた木村さんだけれどパーソナルが大きい題材で作り上げた作品にしっかりと鑑賞者が作品へどう向き合っていくだろうかと、客観と主観が損なわずに寄り添って作り上げられた展示は本当に素晴らしかった。

来週末で展示が終わってまた来年というのが寂しく、同時にもう待ち遠しい。最終日へも行くつもりだ。もちろん煙草を吸ってから。





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