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アフリカの新たな気候リーダーシップ!Africa Climate Summit示す未来の方向性

今回もアフリカ現地で話題のニュースを取り上げ、その記事をまとめた要約記事をお届けします!今、アフリカ各国で何が起こっているのか、一緒に勉強していきましょう!

さて今回は先日ケニアで開催されたAfrica Climate Summitに関する内容をまとめてみました。

Africa Climate Summitとナイロビ宣言

2023年9月にケニアの首都ナイロビで開催されたアフリカ初の気候サミット『Africa Climate Summit』は、アフリカ連合とケニア政府の主催で、グローバルな気候課題に対する持続可能な解決策を議論するためのものでした。

アフリカ気候サミットでは、"Driving Green Growth and Climate Finance Solutions for Africa and the World"(アフリカと世界のためのグリーン成長と気候資金調達の解決策を推進する)をテーマに、アフリカ各国の気候行動への統一された立場を強調するナイロビ宣言という11の行動要請を含む文書の採択が主な目的でした。

約30,000人の代表者が参加し、その中には18のアフリカ諸国の元首、国連事務総長のアントニオ・グテーレス、欧州連合の代表であるウルスラ・フォン・デア・ライエンも含まれていました。

アフリカ気候サミットの中心的な議論は、気候行動の資金調達、アフリカのグリーン成長のアジェンダ、そして気候行動と経済開発に関するものでした。

アフリカ気候サミットでは、アフリカの気候対策とその資金調達のビジョンを明確にするための包括的なナイロビ宣言を採択しました。

この宣言は、新しいグローバルな金融取引を求め、アフリカの具体的な成長目標に対応するための適切な資金調達手段と製品を求めています。

また、開発途上国に2020年までに年間1000億ドルの気候資金を提供するという約束を果たすよう求めています。

このような背景の中で、アフリカ諸国は自らの再生可能エネルギーの潜在能力を解放し、新たな富の源となる炭素資産を開発・適切に評価する時が来たとの立場を強調しています。

アフリカの資金調達と経済的挑戦

アフリカ気候サミットにおいて、アフリカ諸国のリーダーたちは、気候行動の資金調達を促進し、アフリカの再生可能エネルギーの潜在能力を最大限に引き出すためのグローバルな金融システムの大幅な改革を強く求めました。

具体的には、譲許的な融資へのアクセスの改善、先進国が気候適応および緩和のために年間1000億ドルを動員するという14年前の約束の実現、そして再生可能エネルギーインフラを資金調達するためのカーボン市場イニシアチブの設立が要求されました。

国連事務総長のアントニオ・グテーレスは、開発途上国を支援するためのグローバルな金融システムの改革の必要性を強調しました。

特に、アフリカは重要な鉱物資源や太陽光資源が豊富であり、多国間の貸付機関の改革が行われることによって、再生可能エネルギーへの移行において中心的な役割を果たすことができます。

しかしながら、パリ協定での排出削減目標を達成するためには、アフリカは2030年までに約2.8兆ドルを必要としています。これは、気候投資を10倍に増加させることを意味し、現在の大陸のGDPの約93%に相当します。

さらに、アフリカの国々は多国間貸付機関からの資金調達について、先進国と比べて最大で8倍の費用を負担しています。

この不均衡は、気候行動のための資源がほとんどまたはまったく残らないという、継続的な債務危機を引き起こしています。

サミットの間に、ドナー国と多国間の組織は気候投資のために約260億ドルを約束しました。

コミットメントの一例として、アラブ首長国連邦は、クリーンエネルギー向けに45億ドル、炭素クレジット向けに45億ドルの"非拘束的な意向書"を提出しました。デンマークは、グリーン気候基金の第2回補充のために2億3200万ドルを約束しました。

発表されたパートナーシップ一例

  • UAE-Africa Renewable Energy Partnership:アラブ首長国連邦(UAE)はアフリカでの再生可能エネルギープロジェクトを支援するために45億ドルを提供することを約束しました。

  • US-Africa Food Security Partnership:アメリカは、アフリカ全土での気候に対する食糧の安全性を向上させるために新たな資金として3千万ドルを発表しました。

  • African Adaptation Acceleration Programme (AAAP):アフリカ開発銀行は、Global Centre on Adaptationと協力して、世界最大のプログラムとしてAAAPを立ち上げました。アフリカ開発銀行は、2025年までに気候資金調達のために250億ドルを提供することを約束しました。

  • Desert to Power Initiative:アフリカ開発銀行は、太陽エネルギーの力を利用して、2億5千万人に電力を供給するための200億ドルの取り組みを実施しています。

COP28に向けたアフリカのリーダーシップに期待

上記の通り、アフリカ気候サミットは、アフリカの気候行動と投資を加速させるための新しい取り組みやパートナーシップの開始の場となりました。

またサミットでは、アフリカの自然資源、特に大規模な森林などの炭素を隔離する能力を適切に評価し、これを新しい富の源として利用する必要があるとの意見が強く示されました。

アフリカ開発銀行の代表は、「アフリカは自身の炭素市場を開発し、炭素を適切に価格設定し、その巨大な炭素の吸収源を莫大な富の新しい源として転換させる必要がある」と述べました。

グローバルリーダーたちも、緑色の成長と持続可能な開発を資金調達するための新しいコミットメントを発表する場として、アフリカ気候サミットを活用しました。

特に、COP28の代表であるDr. Sultan Al Jaberは、UAEとアフリカのリーダーシップの指導の下で、2030年までに15ギガワットのクリーンな電力を開発するための戦略的パートナーとして、Abu Dhabi fund for developmentなどとのパートナーシップを発表しました。

これらの新しい取り組みとパートナーシップは、アフリカが気候変動に対応するための能力を向上させ、持続可能な未来を構築するための重要なステップとして受け止められたのではないでしょうか。

「ナイロビ宣言」を含め、アフリカ気候サミットはアフリカがCOP28での交渉においてどのような立場を取るかを明確にした様に感じます。

資金調達の強化が強調され、特に先進国が気候変動対策のための資金提供の約束を果たすことの重要性が強調されています。

さらに、カーボンクレジットや新しいパートナーシップの構築も注目されています。

これらの議論は、COP28でアフリカがどのような役割を果たすかの手がかりとなります。

アフリカ気候サミットは、アフリカがCOP28での主要なプレイヤーとしての役割を担う準備をしていることを明確に示しています。

アフリカのリーダーシップとその具体的な提案が、COP28の成功の鍵となることが期待されます。


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