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チュヴァシ語の衰退を直視せよ

こんにちは。チュヴァシ語も研究するタタール語講師の boltwatts です。私は、イデル=ウラル通信というブログで、ロシア中部・沿ヴォルガ地域のメディアの記事を日本語に翻訳し掲載しています。詳しくは以下をご覧ください。

「訳者の視点から」コーナーでは、訳した記事に対する私自身の考えや、原語の面白い表現などをご紹介したいと思います。

今回紹介するニュースはこちらです。

ニュースの要約

チュヴァシ共和国のオレグ・ニコラエフ首長が、地元紙のインタビューに答えました。チュヴァシ語の消滅へのプロセスを止めるのはもう遅いのではという記者の質問に対し首長は、「チュヴァシ語がなくなることについて話すべきではなく、その発展についてのみ話されるべき」とし、新聞・雑誌やテレビが活発であることを例にチュヴァシ語が発展していると回答しました。

訳者の感想

チュヴァシ語を守るためには、チュヴァシ語が衰退している現実を直視し、できるだけ早く有効な対策を取らなければなりません。オールドメディアが活発であれば言語は発展していると言えるのでしょうか?子供や若者の多くはロシア語しか話せません。若年層を意識した対策をとらなければ、衰退は止められないでしょう。例えば、子供向けのテレビチャンネルの開設、チュヴァシ語によるネットコンテンツの充実などにも力を入れるべきではないでしょうか。

面白い表現

Олег Николаев ҫапларах хуравланӑ. 
Oleg Nikolaev śapla-rax xuravla-nă.
人名 そのように-(比較) 答える-(完了)
「オレグ・ニコラエフ首長は次のように答えた」

副詞 ҫапла「そのように」に比較級の接尾辞 -рах が付いています。比較級の接尾辞は形容詞に付くことが多いですが、副詞もしくは副詞的に機能する要素に付いて、程度を強めるようなこともあります。これはお隣のタタール語も同じです。

(トップ画像の出典:https://chuvash.org/news/29423.html)

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