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『夢とか恋とかてんてんてん』高瀬準子『め生える』など(ネタバレあり)240902-0908

世良田波波『夢とか恋とかてんてんてん』1‐2巻
1巻で主人公のカイは、仲良くなった男性に迫られた時に相手の鼻毛が見えて強烈に萎える。
2巻で主人公のカイは、片思い相手の高円寺君とラブホに行きセックス一歩手前まで行くが、高円寺君はカイの口周りに薄っすら髭が生えていることに気づき、静かに萎えてセックスを取りやめる。
この同期が鮮やかすぎて100点です。

高瀬準子『め生える』
面白かった!けど著者のこれまでの作品のクオリティに比べると一段落ちる気がした。
高瀬さんなら、若ハゲに苦悩する一人の人間……という普遍的な設定で絶対面白く書けたと思う。実際の物語は、ハゲ感染病が流行りみんなの髪が無くなる世界で、一人だけ髪が生えてきた主人公にフォーカスしている。ある意味期待していたものと真逆なストーリーだった。ちょっと村田沙耶香味があるというか。
実はこれまで人間が風呂に入っていたのは髪の毛を洗うためだったんじゃないかとか、髪の毛がないということは人間関係のヒエラルキーが一定程度は取り払われるだとか、独自の視点は健在。

今井むつみ『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』
具体的なコミュニケーション不全の解決法も提示されているが、それよりも「他人の心の内なんかわかるわけない。育ってきた環境も何もかも違うのに」が前提にあることが重要というか、信用に値する。
ハーバード大学のコピー割り込み成功率の研究が参考になった。理由を言うか言わないかで意思疎通ができる確率はぐんと上がる。

山本高穂/大野智『東洋医学はなぜ効くのか』
鍼灸や漢方薬がなぜ体調不良などに効くのか、科学的知見も溜まってきたからデータ提示しつつ解説します~な本。とっってもタメになる。
漢方は1種類ずつ細かな説明があるから、自分の不調に合わせた薬を選ぶことができる。「香蘇散」使ってみたい!

1日外出録ハンチョウ 19巻
相当ネタ切れ感が強くなっていて、食に関係のない人間ドラマメインの前半はちょいと辛い。ただ後半は「粉炒」「漢気」などで盛り返していた。特にいかにしてブームが作られているかを描く「粉炒」はオチの付け方がうまい!!

ふつうの軽音部 3巻
読んでいて少し「いい人疲れ」してきたかもしれない。
幸山厘の魅力で持っている感あり?1,2巻は今年ベスト級の面白さだったのだが。


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